玄関の広さは、玄関ホールと玄関土間を合わせた面積で決まります。玄関ホールも玄関土間も広くとれば、外出、帰宅時の使い勝手が良く、収納も設けられます。
ただ、玄関に床面積をとられ過ぎてしまうと、他の部分の床面積が圧迫されてしまいます。新築時の間取り計画は、玄関と家全体の床面積とのバランスを考えながら進めていくことが大切です。
玄関ホールの平均的な広さ
広くとると使い勝手が良くなる玄関ホールと玄関土間ですが、家全体の床面積には制限があります。その為、玄関ホールの広さの平均は3帖程度にする新築住宅が多くあります。一般的な住宅より広い床面積がある場合には、それよりも広くとれますが、狭小住宅の場合には3帖を確保するのは難しいかもしれません。
2020年度フラット35利用者調査を見ると、注文住宅の面積の平均は124,4㎡ですので、地域の差もありますが、124,4㎡を一般的な戸建て住宅の面積と考えて良いでしょう。その数字を基準にして、床面積のバランスを考えていくと、これから新築する家の玄関に使える床面積がおおよそ割り出せるのではないでしょうか?
参考資料 住宅金融支援機構 フラット35利用者調査
家族構成や家族の暮らし方と玄関ホールの広さの関係
家族構成や家族の暮らし方によって、必要な玄関ホールの広さは変わってきます。ご夫婦だけという家族構成や、来客の少ない暮らしであれば、何人もの人が同時に玄関を使うことはないので、それほど玄関ホールや土間を広くしなくても良いかもしれません。
一方、家族の人数が多く、朝はほとんど同時刻に家族が家を出る、大人数の来客が多いというような暮らしであれば、ある程度の広さの玄関が必要です。
1人が出かける、 1人の来客を出迎えるというような場合は、2帖程度の玄関ホールで十分です。狭小住宅の場合には、1,5帖程度の玄関が造れます。2人が同時に出かける、2人の来客を出迎えるというような場合には、2帖以上が理想的です。
間取りと玄関ホールの広さの関係
軒下を有効活用して家の外でも快適に 磐田市M様邸
玄関からウォークスルーで利用できる土間収納があると、来客動線と家族の動線を分けられ、常にすっきりした玄関でお客様をお迎え出来ます。このウォークスルーの収納は土間収納なので自転車やベビーカーも置くことができます。
玄関からリビングへの動線が確保している間取りでは、帰宅した家族がリビングに直行する為、リビングに物が溢れやすくなってしまいます。また、二世帯住宅など大人数の家族の場合、靴や子どものスポーツ用品、ベビーカーなどが玄関内に溢れてしまうこともあります。
そのような状況を避ける為には、玄関ホール、または玄関土間に家族で使える大型収納が必要です。その為には玄関ホール、または玄関土間に収納用の面積を1坪増やし、3坪以上の面積を確保することが理想的です。
真壁平家は住まいの理想型 周智郡O様邸
* 平屋のゆったりした玄関です。シューズ・コートクローク(1.5畳)を併設された玄関土間は3畳、各部屋への起点となるホールは3畳あります。
一方、2階リビングにする場合、帰宅した家族は1階にある自分の部屋にコートや荷物を収納してからリビングに迎えるので、玄関に大型収納は必要ないかもしれません。2帖程度の玄関にする、又はベビーカーやスポーツ用品など自室には収納できない物を収納する土間収納を設ける為、3帖以上の玄関にするなどの方法が考えられます。
玄関ホールと玄関土間のバランス
家全体の床面積とのバランス、家族構成と家族の暮らし方から適切な玄関の広さを割り出したら、玄関ホールと玄関土間のバランスを決めます。例えば、間口1820 mm×奥行き2730 mm(1,5坪)が玄関に使える床面積だった場合には、ほぼ正方形なので、玄関ホールと玄関土間のバランスは均等にすると使いやすいです。一方、同じく間口が1820mmでも、奥行きが3640mmある場合には、約2帖の長方形なので、玄関ホールに3分の2を使えます。
同じく奥行きが3640mmであっても、間口が2730 mmあると、人が横に2人並んで立つことができる3帖の長方形なので、玄関ホールを広くとる、又はウォークインタイプの収納を造ることができます。この広さがあると、大人数の家族や来客の多い家族でもストレスなく使える玄関にできます。
土間は、広い土間収納にする他、通り土間にしてキッチンに繋げるなど、様々な活用方法があります。
どこか懐かしい広い土間のある家 浜松市K様邸
* 4.5帖の広々とした玄関土間です。玄関土間は、収納・おもてなし・温室・作業場など、靴を脱いで家に上がるだけではなく、多目的に使える楽しい空間となります。また、和室にじかに上がれるので来客の時も重宝します。
通り土間のある楽しい暮らし 湖西市O様邸
通り土間とLDKを一体化する開放的なお家です。この住宅のように玄関土間には柔軟な可能性があります。
■ 新築住宅で間取りに土間を採り入れる場合、靴を脱ぎ履きする玄関土間の他に、シューズクローク、土間リビング、土間キッチンなど多様な方法があります。その中の一つが通り土間です。町家に多く見られる通り土間のある間取りは、昔から日本の家に親しまれてきた間取りの一つです。現代の生活に調和し失敗のない通り土間はどう造るべきでしょうか?
コラム 通り土間が玄関からキッチンまで繋がる間取りとは?
新築時に考えたい玄関の使い勝手
玄関は、毎日家族が使う場所なので、快適な空間にしたい場所です。同時にお客様にとっては初めて目にする家の中なので、印象の良い空間にしたい場所でもあります。快適で印象の良い玄関にする為には、どのようなことが必要でしょうか?
窓からの明るさ
窓のない玄関は少なくありませんが、新築時に窓を設けておくと、明るさと風を採り入れられます。窓がない玄関は晴れた日の昼間でも薄暗く照明が必要です。
間取りの関係上、窓が設けられない、または窓は設けられるが陽射しが入る窓にはならないというような場合には、吹き抜けと組み合わせるという方法もあります。また、外出時の身支度を確認する際にも、自然光の下で服装の色合いやメイクを確認できます。
窓からの風
窓のない玄関は、風通しが悪いので、夏は蒸し暑くなる、梅雨時には嫌なニオイやカビが発生するなどの問題に悩まされることがあります。玄関は濡れた雨靴や傘を持ち込む為、どうしても湿度が上がりやすいからです。
その上に換気が悪いと、快適な環境、清潔な環境が維持しにくくなってしまいます。特に土間収納を設ける場合には、湿度が高まりやすいので窓を設ける他、内装に自然素材を使うなどの工夫も必要です。
クールでスタイリッシュな外観イメージの家 浜松市浜北区 M様邸
* 玄関土間は自転車なども収納できる3帖、ご家族用通路が隣接されています。
■ 新築住宅の間取りプランを作成する際、窓の位置はとても重要です。窓の種類や寸法、窓を配置する高さによって、家の中の環境が大きく変わるからです。玄関の窓も家全体の風通しに影響します。
コラム 住宅の窓は種類や配置で暮らしを変える
玄関ホールにあると便利な洗面台
家事と子育てを一緒に楽しむ家 掛川市 K様邸
* いつも玄関をきれいに保つために、来客用とご家族用の動線+収納スペースを分離。家族用の動線には、洗面台があります。洗面台があると帰宅後の「手洗いうがい」の習慣が自然に身につきます。
玄関ドアと引き戸の違い
土地形状を上手に活かす、家づくり 浜松市中区M様邸 町家を意識した和モダンな外観に合う引き戸です。
一般的に多く使われている親子ドアと引き戸を比べた場合、2枚建ての引き戸の方が広い間口が必要ですが、日常的な通行の幅は同じです。大型の荷物を搬入する場合には、親子ドアの場合は子扉も開く、2枚建て引き違い戸の場合は、戸を2枚も外しますので、子扉を開けるだけで入る荷物であれば、親子ドアの方が楽に大型荷物が搬入出来ます。
家族のかたちに作る家 urac and大壁 浜松市中区 S様邸 前方にデッドスペースが生まれないスライデイングドアです。
車椅子での出入りは、どちらも通常の通行の幅の中でできますが、玄関ドアの場合はドアが邪魔になり、誰かが抑えていなければならない面倒さもあります。また、玄関ドアはドアの前方に開放の為、デッドスペースが生まれますが、引き戸は前方のスペースにベビーカーや鉢植えを置いておけます。
ただ、防犯性と断熱性という面から考えた場合は、玄関ドアの方が高性能です。使い勝手の他に、玄関周りや地域の気候、地域の環境にも配慮して、玄関ドアと玄関引き戸を選ぶことが大切です。
外観デザインとの調和に関しては、和風な外観に合う玄関ドアも、洋風な外観に合う引き違い戸も選べるので、心配することはありませんが、使い勝手と機能面の違いに対しては、十分検討することが大切です。
■ 玄関には、暮らしに影響する要素がたくさんあります。家づくりプランの作成の際には、玄関の役割、玄関が暮らしに与える影響を考慮して、玄関の造り方を考えることが大切です。
コラム家づくりの重要なポイントの一つは玄関
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。