新築の間取りプランを検討する中で、吹き抜けがあるといいな…とは思っても吹き抜けがある家は夏暑く冬寒いなどのデメリットを耳にすると迷ってしまうことはありませんか?
吹き抜けは本当に暖房しても寒い、エアコンをつけても暑いという状況を生み出してしまい、メリットは見た目のおしゃれさだけなのでしょうか?
吹き抜けのある家にはメリットがいっぱい
暖房をしても足元が冷える、部屋全体に暖かさが拡がらず寒い…吹き抜けのある家にお邪魔した際に、このような経験をしたことはありませんか?夏には高い位置からの日射でエアコンをつけているのに涼しくならず、光熱費が嵩むといった話も聞かれます。
このような状況になってしまう原因には住宅の断熱気密性、間取り、冷暖房の方法が挙げられます。もしこの3つの要素が適切であれば、吹き抜けにはたくさんのメリットがあります。吹き抜けがあると家の中の空間が繋がり、家族のコミュニケーションにも家の中の環境にも良い影響が生まれるのです。
家族の気配を感じやすくなる
リビングに吹き抜けを設けると、2階との空間が繋がるので、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。特に子育て中には、1階のリビングから子ども部屋の様子が感じ取れる安心感があります。お弁当作りや朝食の準備、洗濯などで忙しい朝の時間帯に、いったん手を止めて2階に上がらなくても子どもに声をかけられます。
また、リビングの吹き抜けと階段を組み合わせる間取りにすると、子どもが外出と帰宅の際に必ずリビングを通過するので、子どもの行動を把握しやすいという良さもあります。
1階に陽射しが届く
敷地周辺の環境や隣家や通りとの位置関係によっては、2階は明るく暖かいのに、1階の部屋は日当たりが悪いというような状況になってしまうことがあります。リビングに吹き抜けがあると、2階の窓からの陽射しが届いて明るくなり、冬の日中は暖かさも届きます。
また、間取りの関係上、玄関に窓を設けられない場合があります。玄関の向きや玄関ドアのデザインにもよりますが、窓のない玄関は暗い環境になってしまうことがあります。
窓がつけられない場合でも、吹き抜けを設けると光を採り入れられるので、明るい玄関にできます。リビングや玄関以外にも光を採り入れたい場所に吹き抜けを設けられます。
風通しが良くなる
吹き抜けがあると、下の階の窓から上の階の窓へと風が通り抜けていくので、立体的な風の通り道が生まれます。その結果、風通しの良い家、換気の良い環境が生まれます。特に窓のない玄関の場合、暗いだけではなく、湿度の高い場所になってしまいやすいのですが、その問題も解決されます。
また、空気には暖まると上昇するという性質がある為、空気を入れ替える以外に室内の熱の排出にも役立ちます。
おしゃれで開放的な空間が生まれる
吹き抜けには大開口と組み合わせるダイナミックな吹き抜けもあれば、玄関に設けるちょっとした吹き抜けもあります。規模の差はあっても、どちらの場合も開放的な雰囲気を生み出します。吹き抜けがあると、視覚的に実際の面積より広く感じられるからです。
おしゃれで開放的な空間が生まれるので、何か所にも設けたくなりますが、家全体の間取りのバランスや採光・採風の必要性を考え併せた上で、吹き抜けの設け方を考えていくことが大切です。
吹き抜けのある家を暮らしやすくするポイント
吹き抜けは、住宅の断熱気密性、間取り、冷暖房の方法によっては暮らしにくい環境を生み出してしまう恐れも持っています。そしてこの3つのポイントはそれぞれ単独では効果が得られません。3つのポイントが組み合わされることで、メリットの多い暮らしやすい吹き抜けのある家が実現します。
吹き抜けがある家は、家の中に広い空間が生まれます。もしこの空間を包む家の外側の部分が、暖房の熱を逃がしてしまいやすいとしたら、暖房の効率は低下します。家の外側の部分とは、屋根、壁、床、窓、玄関など外気に接する外皮と呼ばれる部分のことです。
熱を出入りさせやすい外皮の住宅は断熱性能の低い家、住宅の隙間から熱が逃げてしまう家は気密性の低い家です。居室が細かく区切られていて、狭い空間ごとに暖房器具がある場合には、断熱性、気密性の低い家であっても暖房の熱はそれほど拡散しません。
一方、断熱性の低い家に広い空間があると、熱が逃げるだけではなく、広い空間に熱が拡散されてしまい、暖まった空気は吹き抜けを通して2階の天井付近へ上ってしまいます。
さらに気密性の低さによって、窓からは冷気が侵入してきます。この冷気は窓の下の壁を伝って床に拡がるコールドドラフトという現象を引き起こします。これが吹き抜けのある家は足元が冷えるという現象の原因です。ただ、これは一時代前の話です。
近年の住宅が目指す室内環境は、家の中の温度差が抑えられている住宅です。家の中のどこへ行っても温度差が小さい、冷暖房をしている時間帯としていな時間帯の温度差が抑えられるという環境が調えられることが求められています。
そしてこのような環境を生み出すためには、家の中の空間が繋がっている必要があります。暖かさや涼しさを循環させる為です。つまり、外皮の断熱性が高い場合には、適切な位置に設けられた吹き抜けによって空間が繋がり、より室温の管理がしやすくなるのです。
住宅の断熱気密性と間取りによって、吹き抜けは良い方向に影響を与える場合もあり、悪い方向に影響を与える場合もあるということです。そしてさらに冷暖房への考え方も、吹き抜けによる室内環境の変化に関係があります。
日本では長らく、家族がいる場所だけ冷暖房をするという方法で室温を管理してきました。この方法の大きなデメリットは家の中に温度差が生まれることです。昔の家には断熱性がなかった為、家全体を暖めようとすれば、高額な光熱費がかかってしまったでしょう。
近年はエネルギーの無駄遣いをなくすため、住宅の断熱性、気密性を高める家づくりが進められています。その上で、吹き抜けを設ける、建具に格子を使うなど空気が循環する間取りにすると、各部屋に冷暖房の器具を備えなくても、家中に暖かさ涼しさが循環しやすくなります。特に全館空調を採り入れると、1年を通して理想的な室内環境が調います。
参考サイト 経済産業省 資源エネルギー庁 住宅による省エネ
参考サイト パッシブエアコンのある暮らし
♠ 暮らし始めてからの家計に優しく快適な家にする為には、どのように家づくりを進めるべきなのでしょうか?省エネ住宅とはどんな家なのでしょうか?
コラム 省エネ住宅とは理想の暮らしができる家?
♠ 戸建ての家を新築する際には、冷暖房の方法についても計画が必要です。暖房の方法には、エアコンや床暖房、薪ストーブなどの他に全館空調があります。全館空調は、冷暖房機器が設置されている部屋だけではなく、家全体の温度を調えるという考え方に基づいた住宅設備機器です。温熱環境の調え方と同時に全館空調について確認していきましょう。
コラム 全館空調とは戸建ての家を快適な家にする空調設備
吹き抜けはどこに組み合わせる?組み合わせ別施工事例
吹き抜けはリビングだけではなく、いろいろな場所に設けられます。
土間と吹き抜け ~1
通り土間のある楽しい暮らし 湖西市O様邸
通り土間は、多彩なアイデアを活かせる快適空間です。その通り土間と組み合わされた吹き抜けは、通り土間に空調のような機能性を持たせることができます。冬場は通り土間の床が太陽光で暖められ、その暖気が上部の吹抜けを通って2階に上昇し、室内を循環することで暖かさを保ちます。
土間と吹き抜け~2
自然の恵みで爽やかに暮らす家 「雨楽な家・爽」磐田市O様邸
玄関とリビングを繋ぐ土間と吹き抜けを組み合わせた間取りです。パッシブエアコン(全館冷暖房)をプラスして、小屋裏に設置した1台のエアコンで冬は床下から暖房、夏は天井から冷房します。建築と空調設備を一体計画して室内の温熱環境を年中快適に維持します。
♠ 土間にはもっと多彩な可能性があります。リビングやキッチンと玄関を繋ぐ通り土間、土間ダイニング、土間収納など土間の良さが活きる土間のある暮らしを楽しめる家にしませんか?
コラム 土間のある暮らしにはどんなメリットがあるの?
リビングと吹き抜け~1
木の香る子育て住宅 浜松市南区Y様邸
隣家との距離が近くても十分な陽射しが採り入れられます。
リビングと吹き抜け~2
自然素材に包まれた空気環境が良い家 袋井市 M様邸
冬の日差しを出来るだけに取り込むために、南側に大きな開口と吹抜けを取り、逆に夏は日射取得をおさえるために、大屋根、下屋共に軒の出を深くしパッシブデザインの家をめざしました。
吹き抜けは住宅の断熱性や間取りによって、住宅の室内環境に与える影響が大きく変わります。間取りに吹き抜けを採り入れす場合は、断熱性や間取り、敷地周辺の環境などを考え併せた上で計画を進めていきましょう。
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。