和室のない住宅も増えてきました。和室はいらないという意見もあるくらいです。一方、新築住宅を建てた方の中には和室があって良かったという方も少なくありません。
注文住宅ならではのこだわりの和室にする為、壁の仕様の種類や漆喰や土の塗り壁、無垢材、畳など内装に使う素材について確認していきましょう。
和室の壁の仕上げには、和紙の壁には軸組み工法の良さが活かされる柱や梁を見せる真壁仕様と、構造材を見せない大壁仕様という2つに仕上げ方法があります。さらに、日本の伝統的な木造住宅には、伝統構法と木造軸組み工法が挙げられます。
このうち伝統構法の家では基本的に真壁仕様でしたが、近年の木造軸組み工法では、居室の目的や好みに合わせて、真壁仕様で納められることもあれば、大壁仕様で納められることもあります。
真壁仕様
瓦屋根が美しい二世帯住宅 磐田市 S様邸
真壁仕様は日本の木造住宅の構造を活かして、柱や梁を見せる昔ながらの壁の納まりです。柱や梁に使われる無垢材が室内に落ち着いた重厚感を生み出します。この柱や梁の美しさを出すためには、無垢材の選び方、大工の熟練した技術が必要不可欠です。
無垢材は樹木によってもともとの色合いや風合いが異なりますが、それに加えて紫外線を浴びると色合いが変化していくという特徴を持っています。明るい色合いだった無垢材は経年で深い色合いに、濃い色だった無垢材は明るい色合いに変化していきます。
その為、将来の色あいの変化も含めて、壁の色との調和に配慮して無垢材の種類を選ぶ必要があります。加えて、無垢材には節や割れがあります。節や割れのない無垢材を選ぶ、又は節や割れのある部分を見せないように仕上げるという大工の腕が求められます。
また、木造軸組み工法は、土台を造り、その上に柱と梁を組み上げるという工程をまず初めに行います。その為、その後の壁や屋根、階段などの工程を進める期間に、柱や梁に傷がついたりしないようにしなくてはなりません。
構造美が重厚な雰囲気を創り出し、同時に無垢材の質感が温もりを感じさせる真壁仕様ですが、その他に、室内の湿度を調整しやすいという良さもあります。塗り壁や襖、畳との組み合わせでさらに、湿度を調整しやすい環境が調います。
これらの自然素材には、調湿性があるからです。特に珪藻土の塗り壁には高い調湿性があります。その為、壁の表面にもカビが発生するというリスクが極めて少なく、きれいな空気環境を維持することに役立ち、家族の健康維持に貢献します。
また、壁の内部の湿度が高まるリスクも極めて低い壁の収まりが真壁です。壁の内部に湿度が高まると、構造部の腐蝕に繋がり耐震性が低下してしまいます。一方、断熱材を入れる為の壁の厚みが少ないというデメリットがありますが、その分部屋が広くなるとも言えます。
♦ 和室に使われる自然素材と真壁仕様は湿気対策に役立ちます。湿度の調節は耐震性を維持する為にも、家族の健康の為にも非常に重要です。
コラム 木造住宅は湿気対策が家族の安全と快適を大きく変える
大壁仕様
どこか懐かしい広い土間のある家 浜松市K様邸
主に洋室に使われる仕上げで、柱や梁を壁の中に隠す収まりです。従来は洋室に採用されることが多かったのですが、近年は和室にも多く採用されています。
真壁仕様と比較すると断熱材を入れる厚みが多く、気密性を高めやすいという強みがある為、断熱性を高めやすいという特徴があります。加えて、強い耐性を持つ耐力壁を設けられます。また、柱や梁は見えないので、木材の見た目を厳選する必要がないため、柱や梁に使う建材費を抑えられます。
柱や梁がない分、窓や家具の配置の自由度が高いこと、コードや配管などを壁の中に隠せるので、すっきりした雰囲気が生まれることも大壁仕様の良さです。
大壁仕様で和の雰囲気を出したい場合、垂れ壁を採用する方法もあります。垂れ壁は天井から垂れている壁で、長さによって用途も雰囲気も変わります。床の間の上部に短い垂れ壁を設けると、照明を効果的に使うなど、より高級な雰囲気を醸し出せます。
その他に、畳敷きの小上がりに一部が床まで届く垂れ壁を設け、リビングとは続いているが、独立した部屋のようにも感じられる和室にするといったようなこともできます。大壁の部屋に仏壇が置き難いという場合にも、垂れ壁を造ると収まりやすくなります。
♦ 洋室でも真壁仕上げは採用できます。梁を見せる天井の良さ、注意点、費用について考えていきましょう。
コラム 梁を見せる天井の魅力と注意点
和室の壁の素材
土地形状を上手に活かす、家づくり 浜松市中区 M様邸
和室の壁に使われる塗り壁は、どの塗り壁も、効果の高さの違いはあるものの調湿、耐火、消臭などの性質は共通して備えています。ただ、種類によって色合いや質感が変わる為、室内の雰囲気に与える影響が変わります。
漆喰の塗り壁
消石灰に砂や糊、麻スサ、水を混ぜて練り上げる漆喰を使う塗り壁です。滑らかな質感と清潔感のある白色で、新築時にはスギやヒノキの色に自然に馴染みます。経年で柱や梁が濃い色合いになってくると、白色の塗り壁のアクセントになり、重厚感のある味わいが出てきます。
漆喰には空気中の二酸化炭素によって自ら固まっていく性質がある為、固める為の材料を加える必要がなく自然素材だけで成り立つという良さがあります。
その一方、施工をする日の天候、温度、湿度に影響を受けることと、乾き具合を見ながら塗っていかなくてはならない為に施工が難しいことから、左官職人の熟練した技術が求められます。
珪藻土の塗り壁
海や湖にあるプランクトンの死骸が、堆積している場所から掘り出される土を使う塗り壁です。珪藻土には昔は七輪に使われていたことからもわかるように、高い断熱性と耐火性を備えています。
塗り壁はどの種類であっても調湿性を備えていますが、中でも珪藻土の塗り壁には高い調湿性があります。その為、調理や浴室からの湿度が流れてきやすい場所や、結露しやすい土間収納には、高湿になることを抑える効果があります。
ただ、珪藻土だけでは、乾燥した際にボロボロと崩れてしまう為、固める為に粘土や石灰を混ぜなくてはなりません。この混ぜ物に合成樹脂などが使われていると、自然素材の塗り壁ではなくなってしまい、空気中に塗り壁から有害な物質が揮発される恐れが出てきます。
塗り壁にしたいという理由の一つには、自然素材の壁できれいな空気環境にしたいという想いを持つ人が多いと思います。壁の面積は広いので、そこから有害な物質が揮発されているとなると、室内の空気環境は大きな影響を受けます。その為、珪藻土の塗り壁にする場合には、混ぜ物の種類を確認することが大切です。
また、珪藻土の塗り壁には漆喰の塗り壁ほどの施工の難しさがないことと、漆喰に比べると原料費が抑えられるという良さもあります。
土壁
塗り壁の最終的な上塗りに土を使う、京壁とも呼ばれる塗り壁です。柔らかで上品な風合いがあり、昔から茶室や数寄屋橋建築に使われてきました。土壁の中には有名な聚楽壁もありますが、一般的な戸建て住宅に採り入れることは叶わない貴重な土壁です。
参考サイト 東京財団政策研究所 伝統の美と匠の技:Vol.2「日本の伝統建築や文化を支える土壁の技と匠」
砂壁
塗り壁の最終的な上塗りに砂を使う塗り壁です。滑らかな美しさがあり、茶室や客間に使われます。
クロス
漆喰の塗り壁にしたいけれど、白色以外の色にしたいという場合には、クロスを使います。ただクロスの中には接着剤に有害な物質が含まれているものもあるので、材料の吟味が求められます。
天然紙+漆喰塗料
田畑工事では塗り壁以外の壁仕上げに、ルナファーザーチップス+ホタテ漆喰塗装を採用しています。天然素材で製造された「呼吸する壁紙」で、結露やカビの発生を防ぎます。化学物質を使用していないので、有害物質の発生も在りません。紙と紙の間に木片をすき込んだ多層抄合紙です。
壁紙を貼ったのち、ホタテ漆喰で仕上げます。含有しているホタテ貝殻は穴が大きく詰まりにくいため、効率よく臭いの分子を吸着します。金ゴテ仕上げが要求される漆喰に比べ、セルフメンテナンスが可能な材料です。色も選べます。
和室は子どものお昼寝をさせやすい、続き間にしておけば普段はリビングの延長として、来客時には客間として使えるなど、融通の利く使い方ができる部屋です。
畳の上にゴロンと寝転ぶ心地良さも和室ならではの楽しさです。新築住宅を計画される際には、ぜひご家族の好みに合う理想の和室をご検討ください。
田畑工事は木材や塗り壁だけではなく、断熱材や接着剤も含めて自然素材の家を追求しています。ショールームにお越しいただき、自然素材の良さと自然素材の家の暮らしやすさ、そして私共の取り組みを体感してみてください。
こだわりのある木の家、家族の理想の家の実現を、ぜひ私たちにお手伝いさせてください。
♦ 自然素材の家には注文住宅で建てる自然素材の家とハウスメーカーで建てる自然素材の家があります。どちらも自然素材の良さを活かした住宅ですが、工務店で建てる場合、自然素材選びの自由度が上がるというメリットがあります。自然素材は、種類によって見た目も自然素材が持つ性質も変わるからです。注文住宅では好みに合わせて自然素材を選べます。
コラム 自然素材の家を工務店で建てるメリット
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。