何時までも安心して暮らせる家
子や孫の代まで、快適な暮らしが続く家にする為には、地震や台風などの自然災害に強く、建物の劣化の速度が遅い家にしなくてはなりません。
地震への備え
日本の家で、最優先しなくてはならないことは、地震に対する備えです。地震に対する備えは、家を建てる敷地にも、建物自体にも求められます。
敷地の地震に対する備え
土地探しをする際には、強靭な地盤の土地を選ぶことです。加えて、地盤調査の結果に応じて、必要な地盤改良を行う必要があります。
住宅の地震に対する備え
在来工法の木造住宅では、柱と梁、筋交いの入った耐力壁で、地震の揺れに耐える構造によって、耐震性能を高めます。そして、その性能の高さは、国の定めた耐震等級によって、表されます。耐震を基本として、さらに地震に強い家にしたい場合には、免震、制震などの方法を加えるという選択肢もあります。
地震に対する備えは、必要不可欠ですが、性能の高さを求めれば求めるほど、建築コストも上がっていきます。家族の考え方と家づくり全般の予算のバランスに合わせて、地震に備える方法を選ぶことが大切です。
地震への備えについては、こちらのブログもご覧ください。
劣化に対する備え
高温多湿な日本において、住宅を劣化させる大きな原因の一つは、湿気です。建物の内部に結露が発生してしまうと、構造部が腐朽し、耐震性が著しく劣化してしまうからです。さらに、湿度によって、シロアリが発生してしまうこともあります。住宅の健康を守り続ける為には、換気計画と、防湿対策、防蟻対策が非常に重要です。
参考資料 日本住宅性能表示基準 国土交通省
心地よい環境の調った家
心地よさは、体感的な心地よさと視覚的な心地よさが組み合わさって生まれます。どちらが欠けても、心の底から寛げる環境は生まれません。
体感的な心地よさ
家の中の温熱環境が体感的な心地よさを生み出し、家族の健康に貢献します。快適な温熱環境とは、家の中に温度差がない、体感温度と室温との差がない環境です。
家の中に温度差がない
リビングなどの居室だけではなく、廊下や玄関など、家の中の全ての場所の温度差がない環境を支えるポイントは、季節に応じた最適な室温です。最適な室温は、住宅の断熱・気密性と、パッシブデザイン、適切な空調の方法によって生み出せます。
屋根、壁、床、窓、玄関や勝手口などの出入り口からの熱の出入りを妨げることによって、家の中を魔法瓶のような状態にできます。その結果、冷暖房が効率よく働き、少ないエネルギーで、快適な室温が維持できます。
パッシブデザインは、自然と賢く付き合って快適な家にする設計の手法です。陽射しを採り入れ、日中は、照明をつけなくても、家の中が明るい、深い軒で日射を遮蔽し、夏の室温上昇を抑える、冬は陽射しの暖かさを家の奥まで届ける、地域の風の性質と、敷地周辺の環境に配慮した間取りと窓によって、風通しを確保するなどの方法で、居心地の良い室内環境を生み出します。
家の中の空間を空気が循環するパッシブデザインの家と相性が良い空調の方法が、全館空調です。一台の空調機で冬は暖かさを、夏は涼しさを家中に循環させます。
パッシブエアコンについてはこちらのブログもご覧ください。
体感温度と室温との差がない
断熱・気密やパッシブデザインによって、最適な室温が調えられたとしても、体感温度との差が大きいと、心地よさは得られません。体感温度と室温に差が生じてしまう原因は、主に2つあります。
ひとつは湿度です。湿度は、気候だけではなく、調理や入浴、冷暖房など、生活の中で発生する様々なことによって、上がったり下がったりします。湿度によって、空気環境も変化しますが、体感温度にも影響があります。湿度が高いと、より暑く感じ、乾燥しているとより寒く感じるからです。
もう一つは、壁や床の表面温度です。室温が最適であっても、床や壁が冷たいとヒヤッとして体感温度が下がってしまいます。反対に熱くなっていると、体感温度も上昇します。
この2つの問題を解決する為には、内装に使う素材が大きな働きをします。高温多湿な日本の住宅で、昔から使われてきた木材や漆喰、珪藻土の塗り壁、畳、和紙などの自然素材は、調湿や通気、断熱・蓄熱性といった性質を持っています。
調湿性は、室内の湿度を調えます。断熱・蓄熱性は、壁や床の表面温度が、冷気や、日射熱によって急激に変化することを抑えます。どの結果、自然素材内装の家では、室温と、体感温度の差を抑えられます。
視覚的な心地よさ
壁や床は、常に視界に入ってきます。その為、内装の美しさも、居心地の良さに大きな影響があります。心が落ち着く色合いと風合いのある素材を内装に使うことで、居心地のよい空間が生まれます。
内装材の中には、クロス、障子や襖などの和紙類など、一定期間が来たら張り替える素材もありますが、木材や塗り壁は、半永久的に使い続けます。家族の好みや暮らし方が変わった時に、家具やカーテンを交換しても、調和しやすい色や質感を選ぶことが大切です。
生活しやすい家
家族構成と家族の暮らし方にあった間取り、生活動線にあった収納がある家は生活がしやすい家です。
家族構成と家族の暮らし方にあった間取り
生活がしやすい家の理想像は、家族によって異なります。夫婦だけの暮らしに合う間取りと二世帯住宅の暮らしに合う間取りなど、家族構成による違いがあるからです。また、同じような家族構成であっても、家族の暮らし方や価値観、教育方針によって、最適な間取りは変わってきます。
分譲住宅では、流行りの間取りが多く用意されていますが、そのような間取りが自分たち家族のライフスタイルに合うとは限りません。間取りプランを作成する前に、現在の暮らしに感じている問題点、新しい家に求める希望を具体的にリストアップすることが大切です。
生活動線にあった収納
神経質にならなくても、常に自然に片付く家は、効率の良い収納のある家です。効率の良い収納とは、家族の生活動線に合う位置にあり、収納しやすいサイズの収納です。片付けたい時に、遠くまで運ばないと収納できない、サイズが小さくて、収納したい物が収まらない、奥行きが深すぎて、奥にしまったものはそのままになってしまうというような収納は、無駄の多い収納です。
リビング中心の間取りで、帰宅した家族は玄関からリビングに直行するというライフスタイルは、リビングが散らかりやすくなる傾向があります。ただし、玄関や玄関とリビングの間、リビング内に収納があると、帰宅した家族がリビングのあちらこちらに、バッグやコートを置くことがなくなり、リビングが片付きやすくなります。
一方、2階リビングで、子供部屋や寝室が1階にある場合には、それぞれの居室のクローゼットを充実させた方が良いかもしれません。子供部屋と寝室の間に、大型のウォークインクローゼットを設け、どちらの部屋からも出入りできるようにしておくと、子供が小さいうちは便利です。子供が成長したら、間仕切壁を入れて、それぞれの部屋からだけで入りするようにもできます。
快適な家は、いつまでも安全に安心して暮らせることの上に成り立ちます。その上で、快適な室内環境と、暮らしやすさの調った家を実現していくことが大切です。