戸建て住宅での家づくりを計画されるご家族の多くは、木造住宅で建てることを計画されていらっしゃるのではないでしょうか?その家づくりの際に、非常に重要なことは、湿気対策の講じ方です。新築時の湿気対策が不十分な住宅は、早く劣化して耐久性が低くなり、地震に弱い家になるとともに、家族の健康を守れない家になってしまいます。
木造住宅は湿気対策が耐震性の維持に繋がる
自然素材に包まれた空気環境が良い家 袋井市 M様邸
家を建てるなら木造住宅と思っている方の中にも、木造住宅は地震に弱いと思っていらっしゃる方は少なくありません。大地震が発生する度に、倒壊した木造住宅の映像が繰り返しニュースで流されるからです。では、倒壊した木造住宅の状態はどうだったのでしょうか?
国土交通省が発表した熊本地震の際の内容を参考に考えてみましょう。倒壊した戸建て住宅には、旧耐震基準の住宅が多かった一方、住宅性能表示制度で耐震等級3の住宅は壁量が多く、大部分が被害を受けませんでした。
住宅が倒壊した要因には、規定の仕様となっていない接合部、地盤変状、隣接建物との衝突などの他に、シロアリの被害が挙げられています。このシロアリは、住宅の湿気対策が不十分だと発生のリスクが高まります。
住宅に十分な耐震性を備えさせることは、地震の多い日本にとって家づくりの基本ですが、それと並行して湿気対策を講じることも、地震への備えとして必要不可欠です。
参考資料 国土交通省住宅局「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
■ 木造住宅の中には、主に4つの工法があり、工法の違いによって、間取りの自由度や、耐震性、家づくりにかかる費用が変わります。木造住宅での家づくりを進めていく上で、それぞれの工法の木造の家が持つ特性について考えていきましょう。
コラム 木造の家の種類とそれぞれの特徴
木造住宅に湿気が発生する原因
家族のかたちにつくる家 uracand ウラクアンド大壁 浜松市中区S様邸
木造住宅に湿気が発生し、その水分が住宅の内部にまで及ぶと、構造部が腐朽し脆くなってしまいます。加えてその部分にシロアリが発生し、さらに脆くなっていきます。では、どのような部分から水分侵入するのでしょうか?
結露
窓ガラスや浴室の天井に発生する水滴が結露です。空気中の水蒸気が急激に冷やされると水滴になってしまう現象です。そして結露には、窓ガラスや浴室の天井に発生する水滴のように目に見える結露と、住宅の内部に発生する目に見えない結露があります。
目に見える結露も徐々に壁の内部に浸透していく恐れはありますが、住宅の耐久性に対してもっと深刻な影響を与える結露が目に見えない結露です。目に見えない結露は、天井裏にも壁の内部にも床下にも発生する恐れがあります。そして結露が発生し続けると、構造部の木材に木材腐朽菌が増殖し、構造部がもろくなっていくのです。この内部結露を起こさない為には、新築時の湿気対策が必要です。
雨漏り
屋根の形状と施工力によって雨漏りのリスクは変わってきます。
■ 寄棟屋根・方形屋根 リスク低
4方向に雨水が流れていくので雨漏りのリスクが少ない屋根の形状です。
■ 片流れ屋根 リスク低~中
片流れ屋根には水はけが良いという良さがありますが、屋根と外壁の取り合い部分の施工が不十分だった場合、屋根の接合部分を覆う棟板金から雨水が侵入してしまう恐れがあります。雨樋が一つしかついていない為、台風や雨量の多い日が続いた際には、雨樋のない斜面から流れ落ちる雨水の量も増え、雨漏りを起こす恐れもあります。
また勾配が緩いと、風に対する耐性は高まりますが、水はけの良さは低下します。
■ 切妻屋根 リスク低~中
2面に雨水が流れていくので、雨漏りリスクの少ない屋根の形状ですが、大棟がしっかり接合されていないと雨漏りの恐れがあります。
■ 入母屋屋根 リスク中~高
高級な和風住宅の屋根だけあって複雑な造りになっているため、接合部が多く、相当な施工力が伴わないと雨漏りのリスクが高まります。
■ 陸屋根 リスク中~高
屋根の中で最も水はけが悪い屋根です。防水工事が必須ですが、それでも雨漏りのリスクは高いです。
雨水の侵入
サッシや換気扇に種類によっては、隙間が生じその部分から台風の際に雨水が侵入してしまうことがあります。
水回りからの漏水
浴室、キッチン、洗面所、トイレなどの水回りからの水漏れが住宅の内部に浸透していくこともあります。
生活から発生する水蒸気
入浴、調理、加湿器、鉢植えの植物、室内干しなど、日常生活において水蒸気は常に発生しています。
参考サイト YKKAP くらしのアイデア もう結露になやまない
■ 新築住宅の間取りプランを作成する際、窓の位置はとても重要です。窓の種類や寸法、窓を配置する高さによって、家の中の環境が大きく変わるからです。窓の種類や位置は、外観のデザイン性にも影響を与えます。
コラム住宅の窓の配置が家族の暮らしを変える理由
木造住宅に発生する湿気の原因別対策
自然の恵みで爽やかに暮らす家 「雨楽な家・爽」磐田市O様邸
快適で耐久性の高い木造住宅を生み出す為には、湿気が高くなる原因別の対策を講じる必要があります。
結露
結露を発生させないためには、換気計画と空調の方法選び、優れた施工が必要です。
換気計画
現代の家は省エネ性を高める為、断熱性と気密性を高めるよう計画されます。断熱性と気密性が高い家は冬暖かく夏涼しい環境を最小限のエネルギーで実現できるのですが、危険性もあります。適切な換気ができていなかった場合、内部結露を起こしてしまうからです。
その為、断熱性と気密性の高さに見合った換気計画が求められます。機械換気の他に、間取りが住宅全体の換気に大きく影響します。窓の位置やサイズ、開閉方法、ランマや格子の建具と間取りによって、空気の循環する家にもなり、換気の悪い家にもなってしまうからです。
また、内部結露による木材の腐朽を防ぐ為には、木材の選び方も重要なポイントです。木材の樹種による違いは風合いや色合い、柔らかさ硬さだけではありません。木材腐朽菌に強い木材と弱い木材があります。
水廻り以外の内装に使う木材選びの場合は、風合いや色合いに配慮して選びますが、構造部に使う木材には、腐朽菌に対する耐久性の高さが求められます。
優れた施工力
内部結露は不適切な断熱施工、雨漏りや雨水の侵入などの主な原因は施工不良です。断熱施工による内部結露、雨漏りや雨水の侵入リスクは施工力次第と考えても良いでしょう。
■ 屋根 雨漏りの少ない形状の屋根を選ぶことと、確実な施工力の組み合わせが雨漏りにリスクを低減します。もちろん、凝った形状の屋根であっても優れた施工力があれば、雨漏りしない屋根は実現します。
■ 雨水の侵入 気密性の高いサッシを選ぶことと、丁寧な施工が必要です。施工が不十分だとこのような問題が起こることもあります。
参考サイト 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 新築直後に換気扇ダクトから雨漏り。
■ 水回りからの漏水 タイルを使った在来浴室であっても、最新のシステムバスであっても施工不良があると継ぎ目から水が漏れてしまいます。
生活から発生する水蒸気
完成した住宅が、適切な湿気対策の講じられた家になっていれば、生活から発生する水蒸気に神経質になりすぎなくても快適に暮らせます。ただ、新築時の計画で生活から発生する水蒸気に対する湿気対策ができます。
■ 内装材
居室の使用目的に合わせた内装材を使うことで湿気対策ができます。珪藻土の塗り壁、木材、和紙などの自然素材には湿度を調える性質があるので、湿気対策の補助をします。
■ 暖房の方法
暖房器具によっては室内の湿度が高まってしまいますが、空調の方法が効果的な湿気対策にもなります。効率よく家の中の室温を季節に応じて調整し、空気を循環させて換気を良くするパッシブエアコンは、湿気対策にも役立ちます。
パッシブエアコンとは空気の性質を利用して小屋裏に設置した1台のエアコンで家中を冷暖房する全館空調のことです。空気が家中を循環するので常に換気が良い状態が維持されます。
参考サイト パッシブエアコンのある暮らし
■ 家づくりを計画する際に最も大切なことは、家族が暮らしやすい家にすることです。暮らしやすさを支える条件の一つは、居心地の良さです。パッシブデザインは、自然の恵みを活かして、夏涼しく冬暖かい家、明るい陽射しの溢れる居心地の良い家にする設計の手法です。そんなパッシブデザインのメリットとデメリットについて考えていきましょう。
コラムパッシブデザインとは?アクティブデザインとの違いやメリットデメリット
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。