梁を見せる天井の2つのタイプ
梁を見せる天井には、梁が天井に密着しているタイプと、小屋裏空間と組み合わせたタイプがあります。どちらのタイプにも、無垢材の美しさがインテリアに趣を与えるという効果があります。無垢材には、紫外線を吸収して色合いが変化していくという特性があります。暮らしていくうちに、次第に味わい深い色になっていく木の風合いも楽しめます。
梁の見せ方には、クロス張りの天井に無垢材の梁を見せる方法や、無垢材の天井に無垢材の梁を見せる方法、天井の一部をクロス張りにし梁を見せる方法など、梁を見せることによって出したい効果に合わせて、組み合わせ方を決めていきます。梁の太さによって、梁の印象がダイナミックな空間を造ったり、自然に馴染む梁が平天井のアクセントになったりします。
天井に密着した梁を見せる天井
天井には平天井と勾配天井、折り上げ天井、下がり天井があります。平天井は一般的な平らな天井で、勾配天井は、片流れ屋根や三角屋根の小屋裏空間を活かした天井、折り上げ天井は天井の一部が高くなっている天井、下がり天井は天井の一部が低くなっている天井です。この中で、和室によく使われている梁の見せ方は、平天上に梁が密着しているタイプです。
平天井に梁を見せる手法はモダンな部屋にも馴染みます。
小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井
こう配屋根が生む小屋裏空間に梁を見せる手法です。2階建てで、吹き抜けを設ける間取りでは、1階リビングから吹き抜けを通してこう配屋根が見えるダイナミックな空間が生まれます。
梁を見せる天井の良さ…明るく開放的なリビングが生まれる
小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井は、高い位置の窓からの光を採り込むので、明るいリビングを創り出します。陽射しは時間帯によって変わるので、様々な光の印影が織り出される空間にもなります。
梁を見せる天井の良さ…スポットライトで間接照明を楽しめる
小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井は、空中に梁があるので、梁に照明器具を取り付けられるという良さもあります。梁にレールをつけると、照明器具の位置をシーンに合わせて移動させることもできます。レールは、梁の側面、上部、下部につける方法があり、梁につける照明器具にはスポットライトやペンダントライトがあります。
スポットライトをつけると、様々な角度に明かりを当てられるので、間接照明を楽しめます。ただし、構造用の梁の場合には、電気配線用の穴を空けられないことが多く、その場合には配線用コードを隠せないことがあります。
小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井の注意点
梁が天井に密着した梁を見せる天井に比べて、空間を広げるなど付加価値の多い小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井ですが、注意点もあります。
小屋裏空間を活用したり吹き抜けを設けたりする場合には、共通して、冷暖房の効率が低下する発生するという問題がおこることがあります。しかし、この問題は、家全体の間取りと空調の方法によっては、家中の温度を均一にできる条件にもできます。
細かく居室が分かれている間取りで居室ごとに冷暖房をする家に、小屋裏空間と組み合わせた梁を見せる天井を設けた場合、空間が拡がる分、確かに冷暖房の効率は低下してしまいます。しかし、家中の空気が循環するように計画されている間取りで、全館空調で冷暖房する家であれば、小屋裏空間を活用した梁を見せる天井が、より空気を循環させやすくする効果があります。
したがって、小屋裏空間を活用した梁を見せる天井を間取りに採り入れたい場合に必要なこと、断熱性の高さだけでは足りません。家全体の間取りが「小屋裏空間を活用した梁を見せる天井」が家の中の環境に対して、良い方向に働くよう計画されていることが大切です。
また、梁の上に埃が溜まりやすいという問題点もあります。埃はため込まなければ、毎日の軽い乾拭きできれいになります。しかし、溜まってしまうと空気中の油分などと混ざって、頑固な汚れになってしまいます。無垢材から染み出た脂に埃が混ざってしまうこともあります。
梁の上は冷蔵庫の上などに使う程度の長さのモップは届きません。その為、毎日埃を払えるわけではないので、きれいに維持するには脚立を使う、特別に長いモップを探すなどの工夫が必要です。
■ 同じ木造の家の中にも、工法の違いによって、木造の家ならではの良さの活かされ方が変わります。木造住宅の中には、主に4つの工法があり、工法の違いによって、間取りの自由度や、耐震性、家づくりにかかる費用が変わります。
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梁の2つのタイプ 色や位置が自由に選べるのはどっち?
家を支える為になくてはならない梁と、飾りとしてつける化粧張りです。
構造部としての梁は位置が決まっている
在来工法の家は、柱と梁で支えられています。縦に立てられている柱に対して、横方向に渡されている部材が梁です。床や屋根などの荷重を柱に伝える役目をしています。地震の際には、水平方向の荷重を支えるので、耐震性にも大きな影響を与える重要な構造材です。
柱に繋がっている梁は大梁、柱に繋がっていない梁は小梁と呼ばれています。歴史的な建築物の中には、梁に凝った装飾が施された梁もあります。構造上欠かせない部材なので、見せる為に位置を移動したりすることはできません。
参考サイト 鎌倉の古建築(寺院編) (海老虹梁 装飾が施された湾曲した梁)
化粧梁は色や位置の自由度が高い
梁には構造部としての梁以外に、完全に飾りとしての梁があります。構造には影響しないので、見栄えを考えた上で、好きな場所に設けられます。その為、照明器具を取り付けたい場合には、必要な場所に梁を設けられる便利さがあります。また、内部を空洞にできるので照明器具をつける際には、構造用の梁を使うより電気の配線用コードを隠しやすい良さもあります。
加えて、色選びの範囲も広がります。化粧梁に使う無垢材の樹種の選び方によって、天井の色から浮き出るような濃い色にしたり、天井の色に馴染む自然な色にしたり、希望する雰囲気を演出できる色を自由に選べます。
■ リビングは、家の持つ目的のひとつである、家族の心の健康を調えるという大きな役割をしています。その為、家づくりを計画する多くのご家族が、くつろげるリビングのある家を建てたいと望んでいます。くつろげるリビングを実現するためには、どのようなことを考えて計画を進めたらよいのでしょうか?
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梁を見せる天井にかかる費用
構造用の梁を使う場合には、梁を見せたことで建築費に大きく影響することはありません。しかし、化粧梁を設ける場合には、樹種や梁の太さによって費用が嵩むことがあります。無垢材は、樹種によって価格が大きく異なるからです。
高級な樹種を使って太い梁を設けると、無垢材の価格が高額になり、その分の建築費が嵩みます。リフォームで化粧梁を設ける場合には、樹種や梁の設け方にもよりますが、15万~30万程度かかるようです。新築時には、梁を見せるか見せないかが建築費に大きな影響を与える心配はありません。
参考サイト 最新版!木材価格別ランキング
梁を見せる天井は、自然素材の家の美しさをより高めます。無垢材の味わいが好きな方、開放的なリビングにしたいという方は、梁を見せる天井を検討してみてはいかがでしょうか?
■ 小屋裏空間を活かした梁を見せる天井があっても、損なわれない室内環境はどのように創られるのでしょうか?家族の健康を守り快適な生活を生む室内環境には、温熱環境が大きく関わっています。
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