家づくりの資金計画
注文住宅を理想の家にする為に始めにすることは資金計画です。家を建てよう!と決めると夢が拡がりますが、費用に対する不安も生まれるのではないでしょうか?注文住宅は自由度が高い分、建築費の目安がつけにくいという面があります。その為、まず初めにしておきたいことは資金計画です。
どんなに理想に叶った家であっても、支払いきれないほどの住宅ローンを抱えてしまったら、理想の暮らしはできなくなってしまいます。家族の年収、家族構成、家族の事情に合わせて無理のない資金計画を立てることが大切です。その際に目安にできる数字が家族の年収と注文住宅にかかる費用の相場です。
2021年にフラット35を利用して、新築した注文住宅の全国での平均的な所要資金は、3,572万円、首都圏3,899万円、浜松市のある東海圏3,650万円、土地付き注文住宅では全国平均 4,455万円、首都圏5,133万円、東海圏4,379万円です。注文住宅を新築した人がすべてフラット35を利用しているわけではないので、完璧な平均値とは言えませんが、参考にできる数字です。
- 参考資料 2021年度 フラット35利用者調査
- 参考サイト フラット35利用者調査
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家族の年収と共に考えたいことは、家族構成と家族の事情です。同じ年収であっても、子どもがいない家族と子どもが多い家族、両親を養っている二世帯住宅と両親が生活費やローンを折半してくれる二世帯住宅など、家族構成の家族の事情によって、年収の中から注文住宅新築にかけられる費用が変わってきます。
住宅ローンは20年から30年の期間で返済していくことになるので、その間の暮らしの変化、年収の変化も見越して考えなくてはなりません。子育て中なら、年収が徐々に上がって委とくと共に、子どもの教育費も年々増えていくことが予測されます。
また、家族の誰かが事故にあったり、病気になったりすることがないとは言えません。一家の働き手が長期間働けなくなれば、年収が減ってしまうことも考えられます。そのようなことをすべて考えあわせた上で、家族の年収の内、家づくりに充てられる費用を割り出しましょう。
理想の家の為の土地探し
資金計画によって土地に充てられる予算がほぼ割り出せたら、土地の相場をある程度知っておくと土地探しの参考にできます。
全国の土地の価格で最も高額な地域は東京都で、公示地価平均112万9366円/m2、坪単価平均373万3442円/坪です。静岡県は14番目で公示地価平均8万8410円/m2 29、坪単価平均万2266円/坪です。
静岡県の中で浜松市全体の2022年[令和4年]の公示地価の平均は、8万7180円/m2 、坪単価28万8198円です。浜松市の中でも地域によって価格に差があるので、区ごとの平均価格も確認しておきましょう。
区 |
公示地価平均 |
坪単価平均 |
12万2684円/m2 |
40万5569円/坪 |
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7万4516円/m2 |
24万6336円/坪 |
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6万8483円/m2 |
22万6391円/坪 |
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6万1925円/m2 |
20万4710円/坪 |
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5万6952円/m2 |
18万8274円/坪 |
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4万2892円/m2 |
14万1794円/坪 |
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3万5800円/m2 |
11万8347円/坪 |
2022年[令和4年]公示地価
参考サイト 国土交通省 土地総合情報システム
2021年にフラット35を利用して、新築した土地付き注文住宅の全国での平均的な面積は111.4㎡、およそ34坪です。静岡県のある東海圏では注文住宅の平均的な面積は123.5㎡、およそ37坪、土地付き注文住宅では114.5㎡、およそ35坪です。
では東海圏での平均的な土地付き注文住宅面積である114.5㎡の土地を購入すると、具体的にはどの程度の価格になるのでしょうか?
スーモで浜松市の土地購入(宅地・分譲地)情報に、110㎡~120㎡の更地という条件で検索したところ、中区と東区の物件が見つかりました。
静岡県浜松市東区中野町 遠州鉄道バス「中ノ町」徒歩6分
土地面積118.96m2 820万円 坪単価22.8万円/坪 建ぺい率60%・容積率200%
静岡県浜松市中区上島6 遠州鉄道「上島」徒歩10分
土地面積111.91m2(登記)888万円 坪単価26.3万円/坪建ぺい率60%・容積率200%
静岡県浜松市東区篠ケ瀬町 JR東海道本線「天竜川」徒歩21分
土地面積129.66m2(登記)899万8000円 建ぺい率60%・容積率200%
参考サイト SUUMO 浜松市の土地購入(宅地・分譲地)情報
これはほんの一例ではありますが、110㎡~120㎡の更地の購入には800万円程度の費用がかかることが分かります。駅、駅からの距離、バス利用など交通の利便性、周辺の環境によって価格に幅が出ます。
ある程度の土地の価格に対する目安が分かったら、具体的な土地探しを始めることになるのですが、土地選びで重要なことは利便性だけではありません。周辺の環境や道路との位置関係が間取りに大きく影響します。特に平屋を建てる場合には、周辺の環境によって暮らしやすさが大きく変わります。
また、土地の価格は整形地、変形地、段差のある土地など、土地の条件によっても変わります。同じ変形地でも、暮らしやすい家にはなりにくい土地と、変形を活かした間取りにすることができる上に整形地より価格を抑えられる有利な土地もあります。これらのことを考え併せると、土地選びには専門家のアドバイスが非常に役立ちます
相場より抑えた価格で希望条件を満たす土地を見つけられたり、相場と同じような価格帯で家族の思い描く理想の間取りに即した土地を見つけられたりする可能性が大きくなるからです。
ネットなどである程度の土地の相場を把握できたら、次は工務店といっしょに土地探しを始めることが理想の家の実現への第一歩です。理想の家のイメージを伝えた上で一緒に土地探しをすると、実際に土地を見ながら、その土地に建てた場合の間取りの可能性についての話を聞けます。
理想の家を実現させる工務店選び
注文住宅を建てる工務店は浜松市だけでも非常に多くの工務店があります。その中から自分たちの理想の家を実現させる工務店はどうやって探せばよいのでしょうか?
工務店はハウスメーカーのようにテレビコマーシャルを流したり、地域ごとにモデルハウスを常設したりはしていません。その為、工務店選びはとても難しいです。いくつかのポイントに絞って自分たちの理想に合う家を建築する工務店に辿り着きましょう。
外観と内装
デザインという面から考えた時、好みに合うことが最重要です。北欧風のテイストが好きな家族が純和風の家だけを建築している工務店で家を建てても、好みに合う家は建てられないでしょう。
また、コンクリートやメタリックなど無機質な質感を活かした家と、無垢材や塗り壁など自然な風合を活かした家では、印象も暮らし心地も大きく変わります。
デザインや質感の好みに対して、正解不正解はありません。どんなに素晴らしい家であっても、視覚的に居心地の良さや満足感が得られなければ、理想の暮らしはできないでしょう。その為、まずは外観や内装のデザインが家族の好みや価値観にあっていること、居心地が良いと感じられるデザインや質感であることが大切です。
住宅性能に対する考え方
断熱性や耐震性は目に見えません。断熱性や調湿性は快適な室温の維持に大きく関わりますが、暮らし始めてみないとその快適性や省エネ性を実感できません。また、耐震性に関しては大地震が発生してみないと確認できません。
そこで重要なことが工務店の住宅性能に対する考え方と姿勢です。工務店によって、できるだけ建築費を抑える為に「目に見えない部分は建築基準法ギリギリの住宅性能で建てる」という方針もあれば、「暮らし始めてからの快適性、省エネ性、そして地震への備えは絶対必要」とする考えもあります。
この部分はモデルハウスやOB宅を見学しただけでは見て取ることができません。断熱や省エネ、耐震の等級だけで判断できることでもありません。断熱性や省エネ性は熱の出入りする量で等級が決められますが、快適な室内環境はそれだけでは成り立ちません。
高機能な窓や断熱材を使用する他に、空気を循環させる間取りや調湿性のある素材を使った内装によっても室内の快適さは変わってきます。この部分は住宅の見学である程度把握できるので、見学での視点も大切です。
♠ 新築住宅を建てる際に重きを置くポイントは人それぞれですが、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室温は誰にとっても必要不可欠です。その室温を生み出す要素の一つが断熱、そして断熱性能を判断する為の基準の一つがUA値です。ZEHや長期優良住宅として認定される為にも求められるUA値について確認していきましょう。
また、木造住宅の場合、耐震性は基礎構造、建物の重さ、耐力壁の量と配置などから等級が決められますが、最も耐震性の高い等級3以外には、構造計算が求められていません。さらに構造計算には簡易な壁量計算と複雑な許容応力度計算があります。許容応力度計算を基に設計された家は同じ耐震等級であっても、確実な耐震効果を備えた家です。
♠ 日本は地震の多い国です。住宅を新築する際に、必要不可欠なことの一つは地震への対策です。大地震の際に倒壊した木造住宅のニュース映像を見て、木造住宅は地震に弱いというイメージを持つ人もいます。しかし実際には、万全な地震対策を備えた木造住宅は地震に強い家です。新築時に地震の強い家にする為に必要なことを確認していきましょう。
コラム 地震に強い家の特徴とは?安心して安全に暮らせる家に必要なこと
ただ、建築費の面から考えると、最低限の断熱性の窓や断熱材→高機能な窓や断熱材、構造計算なし→壁量計算→許容応力度計算という順にコストアップしていくことから、ローコストにする為に最低限の断熱性の窓や断熱材+構造計算なしを選ぶ工務店もあります。
快適で安全な家を建てる為には、工務店の住宅性能に対する姿勢と考え方についての説明を十分に受けることが必要です。また、自分たち家族で調べた知識を基に質問をしてみると、より工務店の考え方への理解が深まります。
家は長く住む所です。毎日の快適性は家族の心と体を健康にします。地震に対する十分な備えは家族の財産と命を守ります。目に見えない重要な部分に対してどのような考え方で家を建てている工務店なのかということを見極めることが理想の住宅の実現に繋がります。