自然素材の家が子育てに向いている理由…清潔で安全な空気環境を調えやすい
大きな軒とどこか懐かしい広い土間のある家 浜松市北区N様邸
日本の住宅の多くは木造住宅ですが、すべての住宅が自然の木材だけで建てられているわけではありません。集成材も多く使われています。集成材とは、均等に乾燥させた上で小さく製材した木片を接着剤で繋ぎ合わせた木材のことです。自然の木材と違い、強度や乾燥の度合いが均一なので、扱いやすく、天然の木材よりもコストが抑えられる良さがあります。その為、柱や梁などの構造部にも、フローリングや造作家具にも多用されています。
集成材だけではなく、住宅に使われている建材の中で自然素材だろうと当然のように思われている畳や塗り壁にも、合成樹脂が使われた製品もあります。集成材の原料は天然の木なのですが加工されている為、自然の木材が持つ調湿性や柔軟性などの性質は失われています。
同じように、集成材や樹脂が使われた畳や塗り壁の中には、自然素材の良さを失っている製品もあります。加えて、基準が厳しくなってきてはいるのですが、ホルムアルデヒドなどの有害な化学物質を僅かながら揮発させる集成材も残念ながら存在します。
自然素材の家の良さの一つは、家の中のきれいな空気環境を維持しやすいということです。きれいな空気を維持するためには、風通しの良さと機械換気が基本ですが、それだけでは十分ではありません。きれいな空気環境を維持する為には、家の中の空気に有害な化学物質が揮発されないことが欠かせない条件です。
もう一つは、カビの胞子やダニの死骸などが空気中に舞わないことです。カビやダニを発生させないためには、自然素材の持つ調湿性が役立ちます。調湿性とは、空気中の水蒸気の量を調整する性質です。水蒸気の量が増えて湿度が高くなると吸収し、水蒸気の量が減って乾燥すると、空気中に蓄えていた水分を蒸散させます。
カビは湿度が高くなると発生します。カビが発生するとカビの胞子が室内に舞い散り、カビを餌にしてダニが繁殖し、ダニの死骸やフンも室内の空気を汚します。有害な化学物質やカビの胞子やダニが空気中に混入すると、子どもにアレルギーを発症させるリスクが高まってしまいます。
子どもにアレルギーを発生させない為に、食材を厳選する、掃除や布団干しをマメにするなど、多くの親御さんは心を砕かれていますが、住居そのものに問題があれば、それらの努力が活かされません。アレルギーを発生させにくい家づくりは子育てにはとても大切なことです。
参考資料 「居住環境とアレルギー」 – 厚生労働省
♣ 子育てをしやすい環境とは何でしょうか?豊かな自然に恵まれ、安全で穏やかな地域、自治体からの公的な支援の充実、子供の健康を守り、子供の成長に応じて柔軟に変化していく家…この3つが、精神的にも、肉体的にも、経済的にも大変な子育て期間を、楽しく、充実した期間に変える手助けになります。
自然素材の家での子育て
きれいな空気以外にも、自然素材の家にはいくつもの子育てに役立つ特性があります。
怪我をしにくい
家の中で多く発生する子どもの事故は転落や転倒です。ソファから落ちてしまったり、足元のおぼつかない子どもが転んでしまったりした時に、畳や無垢材のフローリングは、衝撃を和らげます。
目や肌に優しく集中を妨げにくい
太陽の陽射しは明るさや暖かさを届けてくれますが、時間帯によっては眩しさで目を疲れさせたり、集中力を低下させたりします。無垢材の内装の室内では、無垢材の持つ紫外線を吸収して反射させるという性質によって、目の疲れや集中力の低下が妨げられにくい環境が生まれます。室内での日焼けも抑えられます。
情緒教育の一環になる
現代は子どもだけで外遊びに行くのは危険という風潮がある上に、危険性を排除する為に遊具が撤去され、見通しを良くする為に樹木も伐採され、味気ない公園が増えてしまいました。自然の残る地域に暮らしている子どもには自然との触れ合いがありますが、都市部にすんでいる子どもには日常的な自然との触れ合いのチャンスが多くはありません。
ただ、子どもにとって自然との触れ合いは大切な情緒教育の一環です。家の中の環境がビニルクロスやクッションフロアに囲まれていれば、家の中にも自然との触れ合いがありません。木のおもちゃは子どもの五感を刺激するという意見もあるように、自然の素材には、温もりや柔らかさ、自然の持つ色合いの美しさがあります。科学的な色彩ではなく、自然な色あいの中で育っていくことは、子どもに良い影響があるのではないでしょうか?
参考資料 子どもたちのための 「木育」手引書
♣ 自然素材の家には注文住宅で建てる自然素材の家とハウスメーカーで建てる自然素材の家があります。どちらも自然素材の良さを活かした住宅ですが、工務店で建てる場合、自然素材選びの自由度が上がるというメリットがあります。自然素材は、種類によって見た目も自然素材が持つ性質も変わるからです。注文住宅では好みに合わせて自然素材を選べます。