両親が揃って健在なうちは、二世帯住宅にする必要を感じなかったが、伴侶を亡くして母が一人になった、という状況になった時に、一緒に暮らすことを考え始める家族は、多いのではないでしょうか?
実の子供としては、今はまだ元気でも、何かあった時に離れていると心配だ、夫を亡くして寂しいのではないか?というような想いがあるでしょう。同時に、婿、または嫁の立場にある人間にとっては、一緒に住むことに対する不安があると思います。
一般的には、実の子供としては、母一人なら、完全同居でもうまく暮らしていけるだろうと考え、婿や嫁としては、お義母さん一人でも、完全分離にしたいと考えるのではないでしょうか?
ただ、実際には、実の母娘であっても、潔癖症の母親と、大まかな性格の娘では、キッチンや浴室の使い方で意見が食い違い、うまくいかないこともあります。嫁や婿という立場であっても、気を遣わずに打ち解け合えることもあり、一概にはどのような形の二世帯住宅が成功するとは言えません。
また、二世帯住宅には、完全同居を除くと、完全分離型と、部分共有型があり、一般的な住宅に比べて、家づくりの予算が嵩みます。完全分離はもちろんですが、部分共有であっても、共有する部分が多いと、予算は嵩みます。
一方、二世帯住宅の家づくりの費用を、母と子世帯が折半できる場合と、母、または子世帯だけが負担する場合では、家づくりにかけられる予算が変わってきます。
母一人と子世帯との二世帯住宅を計画する際には、家族一人一人の性格や考え方、家族の暮らし方と、家づくりにかけられる予算を考え併せて、トラブルなく暮らしていける間取りを考えていくことが大切です。
母一人の二世帯住宅を部分共有する間取りの考え方
子世帯が子育て中なので、子育てを手伝ってもらう
子世帯が共働きで、家事は主に母親がする
日中は、母と、孫だけしか家にいない
生活の時間帯がほとんど同じなので、食事は一緒に摂る
このような状況の場合は、完全同居、または共有部分の多い二世帯住宅が、暮らしやすいのではないでしょうか?特に就学前の子供の見守りという視点から考えると、祖母が孫を見守りやすい状況になるからです。
1階には、LDKと、浴室、洗面所、トイレ、高齢になった時に備えた母親の居室、2階には夫婦の寝室、子供部屋、洗面所、トイレというような間取りでは、LDK、浴室、玄関を共有します。
母親の居室を1階にしておくと、高齢になった時に備えられて良いのですが、2階の子供部屋の真下に配置すると、子供の足音に煩わされる恐れがあります。また、帰宅が遅い家族がいると、帰宅後の食事や入浴の物音が、母親の睡眠を妨げてしまうことがあるので、家族の暮らし方に合わせて、間取りを決める必要があります。
また、玄関も、リビングも、共有することによって、物が溢れ、片付きにくい状態になってしまいやすい場所です。物が溢れ、片付きにくくなると、居心地の良い空間ではなくなってしまう上に、掃除の手間が増えて、ストレスになってしまいます。
玄関、リビングには、家族全員が使える十分な収納が必要です。この収納スペースは共有せず、母用、子世帯用を分けておくと、使い勝手が良くなります。
母、または子世帯に来客が多い
母親と子世帯は別に食事をする
このような場合、リビングを共有していると、トラブルになる可能性があります。来客中は、他の家族がリビングを使えなくなってしまうからです。来客が多い場合には、2階にサブキッチンとリビングを造っておくと、来客が多くても、食事時間が重なっても、ずれても、気を遣わずにすみます。
母一人の二世帯住宅を完全分離する間取りの考え方
完全分離型二世帯住宅は、2軒の家を縦、横、背中合わせに並べたような住宅です。上下に別けるタイプと、縦に別けるタイプがあります。
上下に別けるタイプの完全分離型二世帯住宅
縦に並べる場合は、1階と2階に世帯を分けします。この場合、玄関は、1階に2つ並べて造り、内階段、またはエレベーターを設ける方法と、2階に外階段と玄関を造る方法があります。
1階に2つ玄関を造ると、1階の世帯の床面積が減ってしまいます。ただ、エレベーターを設けられるので、高齢になった時への備えとして、母親の居室は1階にという制限がなくなります。
2階に外階段と玄関を造ると、階段分の床面積が倹約できますが、雪や雨の悪天候には使いにくい玄関になってしまいます。2階の足音や排水音が1階に響きやすいので、横や背中合わせに並べる二世帯住宅よりも、気配を感じやすい環境が作られます。
縦に別けるタイプの完全分離型二世帯住宅
横に並べる方法は、道路に向かって、2軒の家を並べる場合と、道路に挟まれて敷地の場合には、背中合わせに並べるという場合があります。どちらの場合にも、上下に分離するタイプに比べると、それぞれの世帯が、庭を持てる、2階の生活音に煩わされないという良さがあります。
ただ、上下に分離するタイプより、建築費は嵩みます。また、お互いに気配を感じられないので、何かあった時にも、二世帯住宅に住みながら気が付かないということも起こりえます。
完全分離型二世帯住宅の特徴
完全同居や、部分共有に比べて、それぞれの世帯のプライバシーを確保しやすい二世帯住宅です。少人数での暮らしに慣れている人が増えている現代では、多くの人が、完全分離型二世帯住宅での暮らしを好むようです。
しかし、実際に完全分離型二世帯住宅に住んでいる家族は、完全同居や部分共有型二世帯住宅に住んでいる家族に比べると、それほど多くはありません。
世帯間に自然な触れ合いが生まれない寂しさや、子育ての手伝いにし難さといった理由から、完全同居や、部分共有を選ぶ家族もあれば、完全分離型二世帯住宅にするには、敷地面積や予算が足りないという理由で、完全分離型を断念する家族もあります。
母一人の二世帯住宅の場合は、世帯間に自然な触れ合いが生まれない寂しさが、大きいかもしれません。世帯間に自然な触れ合いが、必要と感じられるかどうかは、家族それぞれの現在の年齢、性格、暮らし方によって異なります。
家族の事情と予算を考え併せて、自分たち家族に最適な二世帯住宅のタイプを選ぶことが大切です。
母一人の二世帯住宅を計画する際に考えておきたいこと
現在は元気であっても、母親は、自分たち夫婦より早く高齢になっていきます。二世帯住宅を計画する際には、その時を迎えても、暮らしやすさが続く家にするということも、重要なポイントです。
玄関と室内の出入り口の幅
車椅子や、介助者と2人で通行できる間口のある玄関と室内の出入り口は、新築時でなければ、十分な幅を確保できません。手すりなどは、高齢になった時に、簡単なリフォームで取り付けられますが、出入り口の幅を変えるとなると、壁を壊さなくてはならないので、大ごとになってしまいます。
トイレは、出入り口を大きくすると、今は必要ない広さになってしまいますが、子供のトイレトレーニングにも使えるので、床面積の余裕があれば、広くしておくと安心です。
階段・エレベーター
階段の造り方は、床面積に影響を与えます。少しでもリビングを広くしたいなど、床面積を倹約する為に、三角形の踊り場を採用することもありますが、安全面から考えると、あまりよくありません。床面積を多く使ってしまいますが、方形の踊り場がある階段の方が、高齢になっても安心して使えます。
加えて、母親が高齢になった時に備えて、エレベーターを後で設けられるように設計しておくと、車椅子になっても、2階に上がることができます。
二世帯住宅のタイプを選ぶ際には、暮らし方や、予算などをすべて含めた家族の事情、婿、嫁の立場の家族の二世帯住宅への意見を踏まえた上で、十分に話し合うことが大切です。暮らし始めてしまえば何とかなる、という問題ではないことが多いからです。
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