浜松市中区 M様邸
家づくりを計画中のご家族のほとんどは、建てる家は木造住宅とお考えなのではないでしょうか?
戸建ての住宅と言えば、木造住宅が思い浮かぶほど、昔から、山が多い日本では、森林資源が豊富で、昔から木材が住宅の建材として使われてきました。
木の持つ性質が、高温多湿な日本の暮らしを快適にすることを、昔から人々が感じていたこともあるのでしょう。
日本国内では、一時期、過剰な伐採や、林業の担い手の減少によって、森林が荒廃した時期もありましたが、今は再び、森を守り、その森で育った木で家を建てるという本来の循環が戻ってきつつあります。
木材の原料となる木には様々な樹種があり、国内で育った木もあれば、外国で育った木もあります。
木材そのものが持つ共通した性質はありますが、樹種や育った地域によって、異なる部分もあります。
木には、視覚的な美しさと、暮らしを快適にする要素がたくさんあります。
「家を建てるなら木造住宅と思っていたけれど、木の種類まで考えたことがなかった。」
「どんな木材を使うと良い家になるのかな?」
そんな想いをお持ちのご家族には、家づくりを計画する際に、木のことを知り、より良い家づくり計画のヒントにしていただけたら…と思います。
国産材の良さ
国産材の多くは、急峻な斜面を持つ山で育ちます。
山にある森林のうち、約4割は、人工林です。
そのような環境下においては、良い木を育てる為の作業にも、育った木を伐り出す作業にも大変な労力がかかります。
伐採跡地を整理し、苗木を植付ける→苗木の栄養分を失わせないよう雑草を取り、質の悪い植栽木を伐採する→一部の植栽木を伐採する(間伐)→成長した木を伐採する→伐採跡地を整理し、苗木を植付けるというサイクルが繰り返されます。
それでも、山に植林する理由は、自然災害から山を守り、土砂災害や洪水で、人里に危害を与えない為です。
では、このような環境の元で育った国産材には、どのような特徴があるのでしょうか?
腐食しにくく強度が高くシロアリに強い
木材には、中心に近い部分を使った芯持ち材と、その周りの部分を使った芯去り材があります。
柱など、木造住宅の構造部には、桧や杉の芯持ち材が使われます。
木の中心部には、虫が嫌う物質や腐朽菌が溜めこまれているからです。
特に桧には、シロアリを寄せ付けない強さがあり、防除薬品を使用しなくとも良い材料と認定されています。
さらに、伐採後、200~300年の期間には、強度が増し続けるという強さもあります。
ただ、乾燥していく過程でひび割れや反りが発生しやすい為、ひび割れによる強度不足を防ぐ為、あらかじめ切り込みを入れる背割りをするなど、熟練した大工の腕が求められます。
一方、輸入材は、広々とした平地で育つため、一本の木から一本の柱が採れるように育てられている日本の木とは違い、木の直径が大きいことが特徴です。
その為、乾燥しやすい芯去り材の部分が多く、扱いやすいことから、輸入材を好んで使うハウスメーカーや工務店も少なくありません。
ただ、輸入材の中には、シロアリ被害や腐朽を防止するため、薬剤によって、防腐や防蟻処理されている木材もあります。
薬剤の中には、人間の健康に悪影響を与える成分が、含まれている製品もあるので、注意が必要です。
国産材でも、シロアリ対策として、薬剤処理をする木材もありますが、田畑工事では、環境にやさしい天然素材でできた薬剤を使用しています。
美しさ
田畑工事では無垢の木の構造美をありのままに見せる家を目指しています。
梁や、真壁の柱、軒下に使う木材は、その木目の質感や色が、室内の雰囲気に大きな影響を与えます。
加えて、木は、日常生活に中にある要素を採り入れて、風合いが変化していきます。
紫外線を浴びると褪色したり、人間の手から出る皮脂がつくと、変色したりする素材もありますが、木材は違います。
紫外線を吸収すると、桧などの淡い色合いの木材は、次第に深い飴色に変わっていきます。
また、皮脂によって、艶を増していきます。
昔、囲炉裏がある家では、囲炉裏の煙が梁や柱を燻して、独特の色合いに変化していきました。
木材は傷つきやすい、汚れが取れないと心配される方もいらっしゃいますが、わが家についた傷やシミは、家族の思い出と捉えることもできます。
木の美しさは、経年劣化せず、経年によって風合いと、味わいを深めていくことなのではないでしょうか?
温もりと柔らかさ
木材は内部に空気を含んでいるので、どの木材にも、共通して温もりと柔らかさがあります。
中でもスギは、柔らかく、冬には暖かさを感じます。
柔らかい分、傷がつきやすいという面はありますが、小さな子供や高齢者が転んでも、弾力性があるので、大事になるリスクが低下します。
調湿性
木材には、空気中の水分を調整する性質があります。
夏の暑さをより不快にする要素は、湿度の高さです。
冬の寒さをより厳しくする要素も湿度です。
夏、湿度が高まると、実際の室温より体感温度が上がりより暑く感じます。
冬、乾燥すると、実際の湿度より体感温度が下がり、より寒く感じます。
木の家では、木材によって、季節に応じた最適な湿度が、自然に調えられ、快適な暖かさ、涼しさが維持されます。
香り
樹種によってそれぞれ特有の芳香を持っています。
この香りは、心を癒すだけではなく、消臭や抗菌などの働きもします。
国産材の種類と特徴
桧
日本固有の日本が世界に誇る優秀な樹木で、世界の針葉樹の中で、最も優れた材であると言われています。
ヒノキ科ヒノキ属 常緑針葉樹で、本州では関東より南の地域、四国、九州、屋久島に生育しています。
桧から作られる木材は。特有の強い芳香と艶のある光沢、粘り強さのある弾力性、耐湿性・耐水性・耐久性の高さを備えた最高級の木材です。
木造住宅では、柱や土台に使われます。
杉
杉も日本の固有種で、宮崎県をはじめとして、秋田県、大分県など、日本の国土のおよそ12%に、杉が植林されています。
樹木には、共通してCO2や大気中の有害ガスを吸収する性質がありますが、樹木の中でも、杉にはこの性質が顕著に働く樹木です。
その性質によって優秀な保存機能を備えています。
日本最古のログハウスとも言われる、校倉造の正倉院は桧で造られていますが、宝物はスギで造られた唐櫃で保存されてきました。
木造住宅建築では、梁や桁、軒先に使われます。
ヒバ
関東以北の本州と北海道で生育するヒノキ科アスナロ属の樹木です。
歴史的に有名な平泉の中尊寺はヒバで建てられています。
耐久性、保存性、耐水性、耐湿性が高く、ヒノキチオールという虫や雑菌、カビの繁殖を抑える成分を含んでいます。
シロアリを寄せ付けない性質があるので、木造住宅建築では、構造材や土台に使われます。