出産や子供の就学などを機に、子育てしやすい環境を調えたいという想いから、家づくりを計画されるご家族は多いことと思います。
子育ての期間は、家を建てた時の子供の年齢にもよりますが、約20年です。
この期間中には、母親の見守りの中で、ほとんどの時間を家の中で過ごす乳児期、保育所や幼稚園に通い、公園などの外遊びをするようになる幼児期、就学してからの時期など、子供の成長に合わせて、生活は変化し続けます。
特に乳児期から小学校低学年までの時期は、日ごと、月ごとに行動範囲が広がるので、暮らしやすい家の条件として、子供の事故を防ぐ配慮がされていることが求められます。
乳幼児期の子供は、判断能力も運動能力も未熟なので、小学校高学年以上の子供にはありえないような事故を起こしやすいからです。
一方、小学校高学年以上になった子供には、母親の見守りや、家族とのコミュニケーションに加えて、自分一人になる時間、勉強や読書に集中できる時間も必要になってきます。
そして、家を建てる夫婦にとっては、子供が独立していき、子育てが終了した後も、暮らしやすい家であり続けるということも重要です。
子育て期間から、子供の独立後までを見据えた、子育てしやすい家について、考えていきましょう。
子供の安全を守れる家
乳幼児から、小学校低学年までの時期は、家のいる時間が長いので、12歳以上の子供に比べて、家の中での事故の数が非常に多く発生しています。
家の中での事故を発生させないためには、発生するリスクのある事故を知り、家づくりの段階で、対策しておく必要があります。
同時に、犯罪から子供の安全を守るために、家を建てる地域の選び方と、住宅の防犯対策も必要です。
家の中での事故を防ぐ為の対策
東京消防庁が平成28年にまとめた、家の中の事故で救急搬送された事例を参考にして、乳幼児に関する事故を確認しておきましょう。
転落
乳幼児が階段や椅子などから転落する事故は、家の中で非常に多く発生しています。
転落事故で、救急搬送された16,300人のうち、最も多い年齢層は、0~4歳で2,344人、5~9歳が761人もいました。
幼児の転落には、湯船に転落、洗濯機をのぞき込んでいて転落、椅子から転落、ベランダから転落、階段から転落などがあります。
このうち、家づくりの際に対策できることは、ベランダや、ロフト部分の手すりと階段です。
ベランダやロフト部分には、隙間が狭い、十分な高さがあるなど、完璧に乳幼児の転落を防げる手すりを設けることが求められます。
階段に関しては、敷地面積と家族構成を考えあわせた上で、十分な居住面積を確保できるのであれば、平屋にするという選択肢も考えられます。
平屋は、事故防止だけではなく、子育て中の家事負担も軽減できます。
2階建ての家を建てる場合には、階段の上と下に、チャイルドフェンスを設ける、安全な階段を選ぶ、階段に手すりをつけるなどの対策が必要です。
一般的な日本の戸建て住宅に使われる階段は、主に直階段とかね折れ階段、折り返し階段です。
階段の中で、最も安全な階段は、折り返し階段です。
折り返し階段は、踊り場を挟んで折り返すので、踊り場が広ければ広いほど、踏み外しのリスクが減り、安全性が高まります。
設計の工夫で、踊り場を利用して、子供の勉強コーナーや、家族の図書コーナーにするという利用法もあります。
直階段は、1階から2階までが、まっすぐにつながっている階段です。
この階段は、転落事故が起きた場合、2階から1階まで、一気に転げ落ちてしまうリスクがあります。
かね折れ階段は、直角に折れている階段です。
階段の幅にもよりますが、踊り場の踏み板が三角形になるので、踏み外して転落するリスクがあります。
転倒
転倒事故は日常生活における事故の中で最も多く、平成28年中は73,510人が救急搬送されています。
その中で、高い割合を占める年齢層は高齢者ですが、乳幼児にも発生しています。
浴室で滑って転倒するケースもありますが、リビングなどの居室で、段さやコードに躓いて、転倒するケースもあります。
転倒事故を防ぐためには、段差をなくすこと、滑らない床材にすることが必要です。
同時に、転倒防止対策として、新築時のコンセント計画も重要です。
新居で使う家電の配置に合わせて、綿密にコンセントの位置を計画することで、長いコードが床に伸びている状態を回避できます。
子供の転倒事故には、コードの足を引っかけて転んだというケースは少なくないのです。