私たちは、一生の中で、何度か大きなライフステージの変化を迎えます。
ライフステージの変化は、住環境にも影響を与えます。
結婚、出産、子供の成長と独立、仕事からのリタイア、子供夫婦との同居などによって、家族構成や、暮らし方が変わるからです。
特に、子育て期間中は、子供の成長によって、家族の暮らしは常に変化し続けます。
そして、多くの人がマイホームを手に入れる時期は、子育て期間中と被っています。
その結果、どうしても子供中心の間取りの家を計画してしまいがちです。
でも、子育ての期間は、約20年、家を建てる時にすでに子供が就学していれば、十数年ということもあります。
一方、家を建てたご夫婦がその家に暮らす期間は、子育てが終わった後も、50年以上あります。
子供が小さい年齢の時の生活に、合わせた間取りの家では、暮らしにくくなるかもしれません。
かといって、まだ子供が小さいのに、その子供が将来結婚して、同居する日に備えた間取りにしてしまえば、現在の生活に合わない間取りになってしまいます。
それを考えると、家は、暮らしの変化に対応できる家、成長する家であるべきではないでしょうか?
注文住宅での家づくりを進める際には、住宅の性能や、外観、内装に加えて、将来的な家族の変化にも目を向けることが大切です。
子供の成長と間取りの関係
出産を機に、家を建てることにした場合、子育て期間すべてに合う間取りを考えなくてはなりません。
広いリビング
乳幼児期~就学までの期間、子供たちはほとんどの時間を家の中で、お母さんと一緒に過ごしますから、のびのびと遊べる部屋が必要です。
就学後は、子供たちは日中の時間を学校で過ごしますが、帰宅後は、お母さんと一緒に過ごします。
この時期までは、お母さんの視点から考えると、家事をしながらも、常に子供を見守れる空間が必要です。
子供が小学校に通うようになってからも、家事をしながら、宿題を手伝ったり、子供の話を聞いたりできる空間です。
そのような空間は、リビングと対面キッチンのダイニング、キッチンをつなげる間取りで作り出せます。
最近は中学生、高校生になっても、リビングで過ごす子供が増えています。
その為、広いリビングという間取りは、家族構成や暮らし方が変化しても、基本的に変える必要がありません。
その上で、子育て中の暮らしやすさを作る工夫をしましょう。
リビング内の子供のコーナー→ファミリークローゼット+勉強コーナー
広いリビングが、お母さんのストレスになる原因は、子供たちのおもちゃが常に散乱している状態です。
リビング内に子供用コーナーを作り、その中に、子供達でも手が届く棚を作れば、自分でお片付けをする習慣が付きます。
お客様がいらしても、子供コーナーが分離しているので、気を遣わずにすみます。
子供たちが学校に行くようになり、開口部の開け閉めができるようになったら、そのコーナーの一部に間仕切壁をつけ、家族で使えるファミリークローゼットに変えられます。
最近は、家にいる時間のほとんどは家で過ごす、という暮らし方をする家族が増えています。
帰宅すると、リビングに直行する生活スタイルです。
その生活は、家族の触れ合いのある暖かな生活であると同時に、リビングに物が溢れやすいという生活でもあります。
その為、子供たちが成長し、外出するようになった時には、リビング内にファミリークローゼットがあると、リビングが自然に片付きます。
さらに、子供たちが、リビングで集中して勉強できるよう、リビング内に設ける勉強コーナーも便利です。
子供たちが独立し、広いリビングが必要なくなったら、リビングを引き戸で分割し、客間を作るという方法もあります。
結婚した子供が、家族を連れて遊びに来た時に泊まる部屋としても使えます。
対面キッチン→壁付キッチン
対面キッチンには、子育て中には、調理をしながらも子供が見守れる、家族とコミュニケーションが取れるという良さがあります。
その一方、高齢になると、キッチンからダイニングへの移動に邪魔になることも考えられます。
そのような時期になった時に、対面キッチンから壁付キッチンに変えると、楽に使えるキッチンに変えられます。
子供部屋
家を作るタイミングにもよりますが、今は一人だけれど、やがて下の子を作るつもりというような家族では、将来の子供数や性別がわかりません。
同性であれば、ずっと一緒の部屋でも良いかもしれませんが、男の子と女の子の場合には、年頃になった時に、それぞれの部屋を欲しがるかもしれません。
そして、子供たちが独立していけば、子供部屋は必要なくなります。
このような状況を考えると、子供部屋は変化し続ける部屋とも言えます。
子供がまだ小さいうちは、子供が複数人いても、一部屋で広々と使い、子供の成長に合わせて、分割できるような仕組みにしておくことが大切です。
分割した時のことを考えて、ドアを2か所につける、分割しても問題のない窓の配置にするなどの工夫です。
子供の独立後には、ご夫婦が考える部屋の用途に合わせて、また広い部屋に戻すことも、分割したまま使うこともできます。
バリアフリー
高齢になり、車椅子が必要になった時に、簡単なリフォームでバリアフリーにできるようにしておく必要があります。
玄関ドアや廊下の幅を広くする、家の中の段差をなくす、玄関やリビング掃き出し窓から出入りしやすいスロープ、大きな取っ手などは、新築時にしておくことが理想的です。
そして、2階建て住宅の場合、最も大きな問題は2階です。
子育て中は、部屋数が必要なので、2階建てにすることが多いのですが、子供が独立していくと、それほどの部屋数は必要なくなります。
さらにご夫婦が高齢なれば、2階の部屋は使わなくなっていくでしょう。
1階だけで居住面積が十分であることに加えて、階段事故のリスクが高まるからです。
そのような時期を迎えたら、減築して平屋にする、土地に余裕があれば、初めから平屋にするという選択肢もあります。
将来的に減築することを考慮した間取りにしておくと、減築の費用が抑えられます。
例えば、シンプルに平屋にするという以外に、一部は残して吹き抜けにするというような減築の方法もあります。
玄関ホールに、いずれエレベーターをつけられるような間取りにしておき、2階は使い続けるという方法も考えられます。
子育て中に、老後のことまで考えて間取りを考えることは難しいかもしれません。
でも、家は長く住む場所です。
ライフステージの変化に合わせて、変われる間取りは、生涯快適に暮らせる家、終の棲家となる家を実現します。
高齢になったら、マンションに住み替えよう、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかく建てる家です。
その家に暮らし続けられれば、高齢になってから、今までとは違った環境での生活を始めなくてもすみます。
二世帯住宅
結婚した子どもの家族と、同居することになることもあります。
この際に、最も費用がかさむ部分が、水廻りです。
サザエさん型の二世帯住宅であれば、問題ありませんが、完全分離型にする場合には、キッチンや浴室を新たに増やさなくてはならないからです。
子供が小さいうちは想像しにくいかと思います。
ただ、将来的に二世帯にする予定があれば、水まわりの増設などについて、家づくりプランの段階で、施工を依頼する先に相談してみることも大切です。
間取りの可変性を高くする要素
家の中には耐震性に影響を与えない間仕切壁と、耐震性を支える耐力壁があります。
木造住宅の場合、間取りを変える際に、耐震性を揺るがせないため、耐力壁と柱の位置は動かせません。
そして、L字型やコの字型の家のように、形状が複雑な家になればなるほど、耐力壁と柱が増え、間取りの可変性が低下します。
反対に、シンプルな形状の家ほど、間取りの可変性は高まります。
その為、そもそもの家づくりプランでは、できるだけシンプルな形状にしておくことが、ライフステージの変化に、対応しやすい家に繋がります。
優れた住宅性能を持ち、素敵な外観デザイン、居心地の良い内装の家であっても、可変性がなければ、生涯を通じて快適に暮らせなくなる恐れがあります。
これから建てる家族のための新しい家は、家族の暮らしの変化に対応する終の棲家になる家にしませんか?
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
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