近年は、リビング中心の間取りが多くの家族に好まれています。
リビングとダイニング、キッチンを繋げ、広々とした空間にする間取りです。
この背景には、自宅内での家族の暮らし方の変化と、リビングでの過ごし方の変化があります。
リビングで過ごす時間の長い家族にとっては、新しい家の広々とした居心地の良いリビングは、大切な空間になるでしょう。
ただし、同じ床面積の家で、リビングに多くの床面積を使った場合、自分のプライベート空間を大切にした家族にとっては、個々の居室が狭くなってしまいます。
家の中での家族の暮らし方、リビングでの過ごし方は、どの家族も同じというわけではありません。
新築住宅の間取りを考えていく上で、自分たち家族の暮らし方、リビングでの過ごし方に合わせたリビングにすることが大切だと田畑工事は考えます。
リビング中心の家づくりが増えている理由
リビング中心の家づくりが増えている理由には、国内で個人の住宅に対する考え方と、日本人の家での暮らしかた、リビングでの過ごし方が、変化してきていることがあげられます。
■ 個人の住宅に対する考え方
ここ数十年、個人の住宅の創り方が変化してきています。以前は、家を建てたご夫婦が、引退する頃には、建て替えをするケースが多くありました。
その理由の一つに、構造部はまだまだしっかりしているのに、家族の暮らしの変化や、社会の変化に、対応できず、暮らしにくくなってしまうという問題があります。
そのような理由で、まだしっかりしている家を、建て替えたり、大掛かりなリノベーションをしたりするのは、とてももったいない話です。
加えて、そのような家が多ければ多いほど、膨大な量の廃材も出てしまいます。
そこで、長く住める家、孫の代まで住める家を考える時、住宅性能はもちろんですが、暮らしの変化に対応しやすい間取りということも考えなくてはなりません。
昭和から平成の中頃までに建築された家は、各居室が細かく区切られていました。
そのような間取りは、間取りの変更がしにくく、壁紙を張り替えるなどの手軽なリフォームでは、暮らしの変化に対応できません。
変化させるためには、構造部だけ残して行うリノベーションをしなくてはなりません。
これからは、手軽なリフォームで、暮らしの変化に対応できる家が求められています。
それを考えた時に、広々としたリビング、ダイニングとキッチンが繋がった間取りは、間取りの変化に融通が利く造り方なのです。
■ 家での暮らし方と、リビングに対する考え方
各居室が細かく区切られている家が多かったころ、食後は、家族がそれぞれの居室で過ごすという暮らし方をする家族がほとんどでした。
リビングでは、家族で談笑する、家族揃ってゲームをするなど、家族全員が同じことをして楽しむという過ごし方をしていたのではないでしょうか?
現在では、リビングに家族が全員いても、それぞれが好きなことをするという過ごし方が増えています。
子供が宿題をしているそばで、母親はスマホを見ている、父親は本を読んでいるというように、家族がそれぞれの行動をしているわけです。
子供たちは、子供部屋で勉強するよりも、リビングで勉強することが多く、受験期になっても、勉強は塾や図書館でし、家にいるときはリビングで過ごすことが多いようです。
このような過ごし方をするようになった背景には、親子関係の変化も感じ取れます。以前より、親子が気楽に過ごせる関係になってきているのではないでしょうか?
特に、共働きのご家庭では、親子が一緒にいる時間が限られてしまいがちですが、食後も、リビングで過ごす時間が長くなれば、親子の触れ合いの時間も増えていきます。
リビング中心にする間取りの注意点
リビング中心の間取りには、
家族の自然な触れ合いが増える、
広々としているので、お互いの存在に気を使いあわずに、居心地よく過ごせる、
家族全員が同じ部屋にいるので、冷暖房費が節約できる
などの良さがあります。
その反面、リビングにたくさんの面積を使ってしまえば、他の部屋に割りあてる床面積が減ってしまいます。
寝室にはもうちょっとゆったりした空間が欲しかった
洗面所が狭くて使いにくい
客間があった方が良かった
冬は暖まりにくく、室内が寒い、夏は涼しくなりにくく、暑い
地震が心配
など、家を建ててから、後悔するようなことになってしまってはなりません。
寝室の使い方も、家族の暮らし方によって変わってきます。
仕事が忙しく、睡眠不足になりがちなお父さんが、休日くらいはゆったリ寝坊したい、
リビングに吹き抜けがあるので、子供が就寝後は、テレビの音が響かないよう、寝室でテレビを見る
というような暮らしになるのであれば、寝室にもある程度の余裕が必要でしょう。
また、家族の人数が4人以上であれば、洗面所が狭いと、朝は混雑してストレスになってしまうこともあります。
広いリビングにしたいあまり、他の場所にしわ寄せがいかないように、考えることが大切です。
客間は、普段使わず、無駄になってしまうことが多いので、作らずに床面積を倹約した場所です。