ここ数年来、エネルギーを節減する為、住宅にも省エネルギーが求められています。省エネ住宅にするためには、高断熱・高気密という性能が必要です。ただ、それだけに頼って、省エネ住宅を実現しようとすると、住宅性能を高める為に、上限なく高額な費用がかかってしまいます。
断熱性、気密性を高めることは必要ですが、それだけではなく、自然のエネルギーを採り入れるということも大切です。日本の住宅は、昔から、自然と共存して生きていくことを基本に造られてきました。その日本の住宅の造り方にも繋がるパッシブデザインと、パッシブデザインの家ならではの全館空調パッシブエアコンについて、考えてみませんか?
パッシブデザインとは?
パッシブデザインとは、太陽光や風などの自然の恵みを利用して、快適な室内環境を調える設計の手法です。電気やガスに頼りすぎに、地域の環境と季節の変化に応じて、常に快適な室内環境を維持できる家を造り出します。
省エネ住宅への取り組みが、日本より進んでいる欧州の国の中には、パッシブデザインを採り入れている国が少なくありません。省エネ住宅の先進国と言われるドイツには、パッシブハウス研究所がつくった建築メソッドによるパッシブハウスという住宅もあります。パッシブハウスには、常に厳しい基準が定められていますが、省エネ住宅の先進国と言われるドイツの家とまったく同じように建てたとしても、日本では、快適な省エネ住宅にはなりません。気候の違いがあるからです。
ドイツは、日照時間が短く、寒い毎日が続く時期が長いのですが、夏は湿度が低いので爽やかな気候です。一方、日本には、四季があり、高温多湿な時期が長く続きます。パッシブデザインの基本は、地域の気候にあった家づくりです。日本の気候に合わせることが重要なのです。
そこで採り入れたいことが、昔からの日本の家の造り方です。南側に大きな窓を設ける、深い軒で日射を遮蔽する、縁側で外部と内部の温度の緩衝地帯を作る、蓄熱する自然素材を使うなどを、現代の家にも採り入れることで、日本国内のそれぞれの地域の気候に合った日本特有のパッシブデザインが出来上がります。
パッシブデザインの目的は、冷暖房をしない状態で、夏は35℃以下、冬は16度以上の室温が維持されること、太陽の光で、日中は照明をつけなくても、日常的な作業ができること、風通しが良いことです。このような室内環境を作り出すため求められる要素について考えてみましょう。
断熱性を高める
断熱性とは、屋根、壁、床などの家の外側を包む部分と、窓やドアなどの開口部からの熱の出入りの量を抑える性能です。断熱性の高い家は、家の中に温度差がない、夏涼しく冬暖かい室内環境が作られるなど、快適で健康的な暮らしには欠かせない要素です。
ただ、これから家を建てるという時に、どのくらい断熱性を持たせるべきなのか、よくわからない…という人が多いのではないでしょうか?住宅の専門家は、数字を見れば判断できますが、一般的には浜松の基準はUA値0.87、Q値2,7というような数字を聞いても、どの程度の暮らしやすさなのか、想像できないと思います。そして、長期優良住宅の基準や、ZEH、HEAT20などの基準を参考に考え始めると、高い断熱性を求めれば求めるほど、建築費が嵩んでいくこともわかってきます。
高い断熱性能を備えることは重要なポイントですが、家づくりにかける費用を全て断熱にかけるわけにはいきません。家族の価値観を現わす外観のデザインや居心地の良い内装、効率の良い動線を備え、家族のコミュニケーションとプライバシーを同時に生み出す間取り、どんなに大地震が起きても家族の安全を守れる耐震性なども、住宅には必要だからです。特に、日本においては、耐震は絶対に欠かせません。
家族に合った暮らしやすく、安全な家にするためには、予算の割り振りを考える必要があります。そして、同時に、室内環境に影響する内装に使う建材や自然エネルギーを利用して、断熱性を高める手助けをすることも大切です。
風を採り入れる
風通しの良さは、家の中の空気をきれいにするだけではなく、家の中の熱を排出する働きもします。風通しを良くするためには、地域の風の性質に合わせた窓の開閉方法、位置、サイズを設けることや、敷地の環境によって窓からの風が十分に得られない場合には、袖壁を作る、吹き抜けを設けるなどが考えられます。
明るさを採り入れる
太陽の陽射しが十分に採り入れられる家は、日中、照明なしで過ごせます。敷地周辺の環境によって、陽射しが採り入れられない場合には、トップライトやハイサイドライトを採用する、吹き抜けを設けるなどの方法で、陽射しを採り入れることや、欄間、スケルトン階段、格子やガラスなど、光を通す建具を設けるなどの工夫が求められます。
暖かさを採り入れる
冬は、陽射しの熱が室内を暖かくします。明るさと同じように、窓の造り方で暖かさを採り入れられる量が変わってきます。また、採り入れた暖かさを蓄える性質のある木や畳などを内装に使うことも大切です。
日射を遮蔽する
太陽の熱が家の中に侵入してくる割合は、開口部からが最も多く、全体の70%を超えます。
開口部とは窓やドアを指しますが、数や面積から考えて、そのほとんどが窓からの侵入です。その為、深い軒、窓の前の落葉樹や緑のカーテン、窓の外側につけるすだれやオーニングなどで、遮熱ガラスなど、窓から太陽熱が室内に侵入しないようにする対策が必要です。
参考サイト 一般社団法人日本建材産業協会省エネルギー建材普及センター
軒は、深くても、季節によって変わる太陽の高さを計算して備えられるので、冬の陽射しを遮る心配はありません。冬は家の奥まで陽射しが届きます。また、縁側や土間は、窓と居室の間に距離を作るので、夏は強い陽射しを室内まで届けず、冬は外部の冷気と和らげる働きをします。パッシブデザインとは、このような考え方、手法によって、快適な家を造り出す設計デザインです。
パッシブエアコンとは?
パッシブデザインは、確かに快適な環境を創り出します。そして浜松は比較的温暖な地域です。しかし、パッシブデザイン+比較的温暖な地域であっても、冬や夏には、冷暖房が必要な時期があります。その為、新築時には、冷暖房の装置を備えることも、家づくりの一環として含まれています。そして、パッシブデザインで暮らしやすいな環境が創られた家を、さらに快適にする全館冷暖房をする空調設備がパッシブエアコンです。
パッシブエアコンの特徴
24時間、家中すべての空間で快適な室温にする
冷暖房している部屋としていない部屋の温度差、冷暖房をつけている時とつけていないときの温度差がなくなるので、健康的で快適な環境が調います。ヒートショックの心配もありません。
屋内全体をゆっくり温度調節するので、風が直接あたらない
温風や冷風が、肌にあたると、不快感と共に、肌へのダメージがありますが、パッシブエアコンは、空気を循環させて温度調節をする空調システムなので、そのようなことがありません。赤ちゃんがどの場所にいても、風邪をひかせたりする心配がなく安心です。
冬は足元も暖かい
冷たい空気は下に降りていく性質があるので、暖房をしているのに足元が冷える、顔ばかり熱くなるというような状況になることがありますが、床全体が暖かいパッシブエアコンは、足元も暖めます。
加えて、機器を小屋裏に設置するので室内がすっきりする、効率的な省エネ運転であるという良さもあります。
パッシブエアコンの仕組み
冬は小屋裏に設置した本体から吹き出された温風が、ダクトを通して床下に送られ、床下空間全体を温めます。(間接暖房)
一般的なルームエアコンやストーブで暖められた部屋の空気は上半身のみが暖められることになりがちで、暖房が効きすぎていると頭が暖まり過ぎて、不快感をもたらす場合があります。パッシブエアコンは、これらを避けて、足元から暖かくし、快適な室内空間を保ちます。床からの暖かさは、暖かい空気は上昇するという熱の性質によって、昇っていくので、暖かさが家中をめぐります。
夏は、天井の吹き出し口から冷気が放出されます。冷たい空気は、ゆっくりと降りてゆき、家の中をサラッとした涼しい空間にします。暖まった空気は上に上がっていき、本体に吸収されて、冷気に変わり、室内に放出されるという循環が生まれます。
田畑工事が採用しているパッシブエアコンの特徴はこちらで詳しくご覧になれます。
家づくりを検討する際には、自然の恵みを活かして快適な暮らしを創り出す家を計画し、健康的で省エネができる毎日を手に入れませんか?
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。