近年、自然志向の人が増え続けている、という傾向がみられます。
無農薬の新鮮な野菜や果物、国内で飼育された食肉、添加物の少ない調味料などにこだわる食生活をし、
化学繊維ではなく、綿や麻、シルクなどの自然な素材を身につけるようにする、というような傾向です。
現代の生活では、ある意味、ぜいたく品にもなってしまったそれらの自然素材は、実は、昔から親しまれてきた素材でもあります。
にもかかわらず、合成添加物や、合成繊維などが出回り始めてから、手軽さと安さを求める多くの人が、合成添加物や、合成繊維に飛びつきました。
そして、自然素材は、徐々に希少な存在になっていってしまったのです。
それは、食糧品や、衣類だけではありません。
家の造り方にも、その影響がありました。
昔ながらの無垢材や畳、瓦屋根など、「自然素材だけで作られていた日本の木造住宅」は、少なくなり、塩化ビニル樹脂を主原料とする壁紙、有害物質を含む接着剤を使った集成材などが使われるようになってきました。
確かに、これらの建材は、汚れにくく、手入れが簡単、しかも安価です。
しかし、有害物質を含む建材は、家の中の空気を汚します。
さらに、新しいうちは、汚れにくく、手入れも簡単ですが、自然素材に比べると、劣化のスピードが早いという面もあります。
屋根材が劣化してしまえば、屋根の吹き替え、壁が劣化してしまえば、外壁の再塗装、内装が劣化してしまえば、壁紙や床材の張替えをしなくてはなりません。
一方、天然素材は、手入れに手間がかかりますが、丁寧な手入れを続けていれば、いつまでも劣化せず、使い続けられます。
しかも、家の中の空気を汚しません。
食糧品や、衣類にこだわる人々が、家の質にもこだわりを持ち、自然素材の家を好むようになってきた理由は、「居住環境が健康に大きな影響を与える」という観点から、家というものを、捉えるようになってきたからではないでしょうか?
これからの住宅には、省エネルギーの家であるとともに、家の中の空気が常にきれいな家、手入れを怠らなければ、長年に渡って使い続けられる家という要素が、求められるのではないでしょうか?
そんな家を建てるために、住宅建築に使える自然素材の種類や、その特徴について、確認していきましょう。
住宅に使われている自然素材
自然素材は、住宅のあらゆる部分に使えますが、具体的には、どこにそんな自然素材が使われているのでしょうか?
田畑工事での自然素材の家を例にとって、具体的な自然素材の使われ方を見ていきましょう。
■ 構造部
構造部に使われる無垢材の良さは、無垢材の持つ性質が生む良さです。
「熱を伝えにくいという性質」は、暖めた空気を逃がしにくく、冬の季節には、暖かい室内環境を作ります。
夏には、その性質が、太陽の熱を、家の中に採り込みにくくして、涼しい室内環境を作ります。
「空気中の水分を調整するという性質」は、室内を適切な湿度にするとともに、湿気による無垢材自体の劣化を防ぎます。
無垢材の種類によっては、シロアリなど虫の害を受けないという性質があり、さらに、住宅の劣化を防ぎます。
構造部は、家の安全性と耐震性の要となる重要な部分です。田畑工事では、土台と柱には、「国産桧」を標準仕様としています。
土台には、丈夫でシロアリのダメージを受けない材質、柱には、構造体力の強さが求められます。
「国産桧」には、この2つの要素を満たす性質があるのです。
梁と桁には、国産杉、もしくは松を採用しています。
梁は、家の構造部を支えるとともに、内装の一部ともなり、国産杉や、松の木目の美しさが、室内の雰囲気を、よりよくします。
無垢の木の家の良さをアピールできる、軒先の垂木と軒裏には、化粧の無垢杉材木材・保護塗料仕上げを標準仕様としています。
■ 屋根
自然素材の屋根材は、和瓦です。
粘土を成形し、乾燥させてから、ゆう薬を塗り焼き上げるゆう薬瓦と、素焼きするいぶし瓦があります。
瓦葺きの屋根は、日本で昔から親しまれてきた優れた耐久性と断熱性を持つ、美しい屋根です。
■ 内装・壁・建具
構造部に使われている自然素材は、一部しか目に見えませんが、内装に使われる自然素材は、室内の雰囲気にも影響します。
自然素材の内装は、室内に、優しく、清潔感のある雰囲気を作り出します。
加えて、肌触りの良さ、感触の良さも実感できます。
自然素材の内装には、無垢材の他、藻類、石灰、貝殻、土、植物繊維などが原料として使われます。
漆喰、和紙、無垢材などは、壁や天井の仕上げ、建具に使われ、
畳、無垢材は床の仕上げに使われます。
自然素材の良さは、断熱性、吸湿性、調光性、防音性、弾力性、有害物質のなさなどの「自然素材が持つ性質」によって、家の中の環境を調えられることです。
自然素材が持つ性質
室内の環境を快適に調える、自然素材の性質について、確認していきましょう。
■ 断熱性
冬場でも、ヒヤッとした感触がなく、温もりを感じます。
自然素材以外の壁や床は、室内が冷えると、同じようにひんやりとしますが、畳や、無垢材の床からは、温もりが感じらます。
夏は、温度が上昇しても、それほど影響を受けず、涼しい室内環境が作られます。
内装ではありませんが、ウッドデッキも無垢材で作ると、温度が上昇する夏にも、裸足で歩けます。