間取りがほぼ完成すると、照明計画の作成も始まります。
照明器具の種類や、灯りの色合いによって、室内の雰囲気は大きく変わります。
家族揃って食事をしたり、食後の団欒を楽しんだりする時間帯は、週末を除いては、暗くなってからの時間帯が多いのではないでしょうか?
その際に、考え抜かれた照明の種類と配置は、より心地良い家族の時間を創り出します。
また、照明のスイッチの位置によって、使い勝手が変わります。
照明やスイッチの位置を決める配線計画と、照明器具の種類について考えていく上で大切なことは、完成しつつある間取りプランに合わせた家具や、家電の配置です。
何も置いていない状態の間取り図だけで、照明の位置を決めてしまうと、最適な照明器具の種類と位置を選べず、照明の効果を十分に活かせません。
間取り図に、使う予定の家具や家電に加えて、ドアの開閉の向きを書き込んでから、照明計画を始めることが大切です。
部屋ごとの照明計画
それぞれの部屋の使用目的に合わせて、イメージに合わせた照明計画を作っていきましょう。
リビングダイニングキッチン
リビング中心の間取りの家では、リビングとダイニングキッチンが直線状に並んでいたり、L字型に並んでいたりと空間が繋がっていることと思います。
中心になる照明と、補助的な照明を組み合わせることで、この繋がった空間を、タイミングに合わせて照明で、別々の空間にすることができます。
キッチンは、安全に効率を良く作業ができるように、
作業の位置に合わせた明るい照明が欲しい、
お料理がおいしそうに見えるよう、ダイニングテーブルは明るく照らしたい、
リビングで家族全員が寛ぐ時には、柔らかな灯りにしたい、
子供たちが就寝した後は、落ち着いた灯りにして、夫婦で映画鑑賞を楽しみたい…
というように、リビングでの過ごし方を思い浮かべながら、リビングの照明計画を作っていきましょう。
ダイニングテーブルを照らすペンダントライトと、ダイニング全体を照らすシーチングライトの組み合わせという照明計画、ダウンライトを並べる照明計画、天井や壁などに光源を当てて反射させる間接照明を用いる照明計画など、様々ありますが、どれも光の拡がり方が異なります。
ダイニングテーブルの位置と配置方法、サイズを書き込んだ間取り図を基に、照明の位置や種類によって変わる光の拡がり方を確認しておくことが大切です。
また、リビングから庭の夜景を楽しめるように、庭をライトアップしている場合には、室内の灯りが窓ガラスに反射して、夜景の邪魔にならないようにしておくことも必要です。
明るさを調整できるタイプ照明を採用する、映り込みに配慮して、照明器具の位置とタイプを決めるなど、室内側の照明計画と、庭の照明計画を並行して進めることが大切です。
寝室
メインの寝室は、ベッドの横になった時、光が直接目に入らないような位置に配置します。
例えば上に向かって光を当てるブラケットライトを、ベッドの頭側や横に設ける、足側にはダウンライトを設けるというような配置です。
これらの灯りのスイッチは、横になった後、起き上がって消灯しに行くのは面倒なので、手元にスイッチをつける、または部屋の入口にスイッチをつける場合には、取り外しのできるリモコンタイプにしておくと便利です。
子供部屋
子供が小さいうちは、就寝するだけの部屋ですが、中学生、高校生になると、勉強部屋としても活用されるので、部屋全体を照らす明るいシーリングライトの他に、勉強机の近くにスタンドのコードを接続できるコンセントを配置しておきましょう。
ベッドの頭側、または側面にブラケットライトも必要です。
玄関
玄関は、長時間を過ごす場所ではありませんが、家族が必ず毎日数回使う場所であり、お客様をお迎えする場所でもあります。
家族にとっては、出かける準備がしやすく、帰宅した時に心地良さを感じられる環境が必要です。
そして、お客様には良い印象を与えられる場所にしなくてはなりません。
メインの照明は、上がり框の上に配置すると、お客様をお迎えした時に、顔が暗くならずにすみます。
玄関の広さにもよりますが、天井からの照明の他に、家族の位置と、お客様の位置に配慮したサブ照明も必要です。
玄関に大型の収納を、設ける場合には収納内部に、飾り棚などを設ける場合には、そのスペースに置く予定の物が引き立つような照明が必要です。
また、玄関の照明のスイッチには、センサー付きタイプがあります。子供を抱いていたり、両手に荷物を抱えたりしている時など、スイッチを押さなくても照明がつくので便利です。
廊下と階段
廊下や階段は、長時間を過ごす場所ではないので、人感センサーが便利なのですが、夜中のトイレの時などは、明るすぎて眩しく、目が覚めてしまうこともあります。
人感センサーは切り替えてオフにすることもできますが、それが面倒な人は、センサーのない照明の方が良いかもしれません。
夜間の移動の為には、センサー付きフットライトが便利です。
廊下や階段の照明スイッチには、コンセント付きのタイプを採用すると、昼間の掃除の時にも役立ちます。
照明器具の種類
取付け位置、取り付けの方法によって、照明器具の種類は変わってきます。
また、同じ取り付け方法であっても、照明器具自体のデザインや、灯りの色はさまざまなので、家具や室内の雰囲気に合う照明器具は変わってきます。
シーリングライト
天井に設置する照明器具です。部屋全体を明るく均等に照らします。
シンプルで目立たないデザインが多いので、インテリアの雰囲気を邪魔しません。
リモコンで、調光や調色ができるタイプにしておくと、シーンに合わせて明るさを調整できます。
リビング、寝室、子供部屋など、ほとんどの居室に使えます。
ダウンライト
小さい照明を天井に埋め込むため、並べ方や数によって、様々な使い方ができます。
リビングのメイン照明にする場合には、同じ天井からの灯りでも、シーリングライトに比べて、陰影ができる為、室内がより立体的に感じられます。
玄関の飾り棚や、見せる収納などに使うと、オシャレな雰囲気を演出できます。
リビングの他に、廊下や階段などにも使えますが、数とレイアウトによって、明るさ、雰囲気が大きく変わります。
特に、リビングにダウンライトを採り入れる場合には、家具や家電の配置、ガーデニングライトを設置して、夜景を楽しみたい場合には、夜間の映り込みなどに配慮して、位置と数を決める必要があります。
ペンダントライト
天井から吊り下げるので、灯りの位置を調節して、部分的に照らすことができます。
主に、ダイニングテーブルを照らす為に使われますが、吹き抜けなどに使われることもあります。
凝ったデザインが多くあり、アクセントとして室内の雰囲気をより良くします。
ブラケットライト
壁面につける照明で、上に向かって光を出すタイプ、下に向かうタイプ、周囲を明るくするタイプがあります。
寝室の照明として使えるほか、廊下や玄関にも使えます。豊富なデザインがあるので、リビングのサブ照明として、インテリアの雰囲気を向上させる役割もします。
スポットライト
壁、床、照明用のダクトレールなどに取り付けられます。部分的に強く照らすので、空間に光のアクセントを添える働きをします。
フットライト
夜間に足元を照らします。暗くなると自動的に点灯するタイプ、人感センサータイプなどがあります。