UA値とは
UA値とは外皮を通して逃げていく熱の量の割合を表す数値です。住宅が失う熱の量を外皮面積で割って平均値を算出します。
外皮とは住宅の外側にあって直接外気に触れる部分、屋根、外壁、床、窓、玄関や勝手口、テラスに面した出入り口全てを指します。その外皮全体の面積の合計が外皮面積です。
冬は、外皮を通して逃げていく暖房の熱の量、夏は外皮を通して侵入してくる熱の量が多ければ多いほど、室内の温度は快適さを失います。冷暖房の効率も低下するので、適切な室温を維持する為に多くのエネルギーを消費する家になってしまいます。
UA値が高い家は大量の熱が出入りする家、冷暖房の効率が悪く光熱費が嵩む家です。UA値が低い家は、熱の出入りが少ない家、少ないエネルギーで快適な室温を維持できる省エネ住宅です。
UA値の基準
熱の出入りは外気温によって影響を受けるので、地域の気候によって住宅に必要な断熱性能が変わります。寒さの厳しい地域ではより高い断熱性が求められるからです。その為、UA値の基準は地域によって異なります。
地域区分 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
基準UA値 |
0.46 |
0.46 |
0.56 |
0.75 |
0.87 |
0.87 |
0.87 |
ー |
地域区分 |
|
1 |
北海道 |
2 |
北海道 |
3 |
青森県 岩手県 秋田県 |
4 |
宮城県 山形県 福島県 栃木県 新潟県 長野県 |
5,6 |
茨城県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 富山県 石川県 福井県 山梨県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 |
7 |
宮崎県 鹿児島県 |
8 |
沖縄県 |
地域区分は市町村ごとに分かれているので、同じ県であっても地域区分が異なる市町村があります。地域8にはUA値の基準は設定されていません。
参考資料 国土交通省 地域区分新旧表
等級別6地域でのUA値の基準
ZEH+ |
0,5 W/㎡K |
断熱等級5 ZEH |
0.6 W/㎡K |
断熱等級4 長期優良住宅・認定低炭素住宅 |
0.87 W/㎡K |
断熱等級3 |
1,54 W/㎡K |
断熱等級2 |
1,67 W/㎡K |
♣ 室内環境を快適にすると同時に省エネで暮らせる家にする断熱性、地震から家族を守る耐震性、暮らしの変化への対応力などは、暮らし始めてからでなくては実感することのできない性能です。
これらの性能を備えていることが認められている家が長期優良住宅です。住宅に関わる補助金や減税、フラット35sの条件には、ほとんど長期優良住宅や省エネ住宅であることが含まれています。
コラム 長期優良住宅の認定条件と補助金や減税、フラット35Sとの関係
UA値を低くし住宅の断熱性を高める方法
壁や床の断熱材のグレードと量、開口部や屋根に使われる素材などによって外皮を通る熱の量が変わり、UA値に影響を与えます。この中で特に大きく影響する部分が窓です。
外皮全体の面積から考えると、壁や屋根の性能の方が大きくUA値に影響を与えるように感じられます。ただ、実際には熱の出入りの多くは窓を通っているのです。
開口部の断熱
住宅の断熱で重要なのが、開口部の断熱性能を高めることです。なかでも窓は、熱の出入りが大きいので、断熱上の重要なポイントとなります。
冬の暖房時に、室内に逃げ出す熱の約6割が窓などの開口部からで、夏の冷房時に、室外から侵入する熱の約は、約7割は窓などの開口部からです。
引用:経済産業省 資源エネルギー庁 家庭向け省エネ関連情報 住宅による省エネ
窓には庭や空などのきれいな景観や陽射しの明るさ、自然の風を採り込むという働きがあり、私たちの生活を豊かに心地よくしてくれます。その一方、夏は日射熱を通して室温を上昇させ、冬は暖房の熱を逃がして室温を低下させる原因を作る場所でもあるのです。
その為、窓を通る熱を減らすことがUA値を大きく変えます。熱を通さない窓とは、樹脂サッシ、または木製のサッシと、トリプルガラスや複層ガラスとの組み合わせです。断熱材のグレードによってUA値が変わるように、サッシとガラスの種類によってUA値が変わります。
サッシの種類
断熱性の高いサッシには樹脂サッシと木製サッシが挙げられます。北欧などの寒い地域では一般的に木製サッシが使われているほどです。ただ、日本においては大手メーカーが製造販売をしていないことと、高額であることからそれほど普及していません。
日本国内で現在最も断熱性が高いサッシは樹脂サッシ、次がアルミ樹脂複合サッシです。樹脂サッシは非常に優秀なサッシなのですが、高額なので窓の数が多い、窓のサイズが大きいという場合、家中の窓を樹脂サッシにすると建築費が嵩んでしまいます。その為、一般的にはアルミ樹脂複合サッシが使われています。
ガラスの種類
窓に使われるガラスには、最も断熱性の高いトリプルガラスの他に、Low-E複層ガラスと複層ガラスがあります。トリプルガラスとLow-E複層ガラスには、遮熱タイプがあり、夏場の日射遮蔽の割合を表すηAC値にも影響します。
♣ 新築住宅の間取りプランを作成する際、窓の位置はとても重要です。窓の種類や寸法、窓を配置する高さによって、家の中の環境が大きく変わるからです。窓の種類や位置は、外観のデザイン性にも影響を与えます。
断熱性を十分活かす為に必要な気密性
断熱とは、屋根や外壁などの面からの熱の出入りに対する性能です。ただ、面からの熱の出入りを防いだとしても、隙間から熱や冷気が出入りしてしまえば、せっかくの断熱性がその効果を十分に発揮できません。断熱性を十分に活かすためには、隙間からの熱の出入りを防ぐ気密性が必要です。
断熱と気密が組み合わされることによって、家の中は魔法瓶のような状態になり、少ないエネルギーで快適な温度を維持できます。以前はC値として家にある隙間にも、住宅全体の隙間の合計面積を延べ床面積で割って算出する基準がありましたが、現在は基準が設定されていません。
家の中と外との隙間はなくし、家の中の空間はできるだけ繋げる間取りにすることによって、断熱性の高さはより活かされます。空間が繋がることによって家中の空気が循環し、夏は涼しさが、冬は暖かさが家中に届くからです。
その結果、冷暖房をしている場所としていない場所、冷暖房をしている時間帯と止めている時間帯の温度差が抑えられ、快適で健康的な室温が維持されます。ただ、気密性を高めれば高めるほど、空気の入れ替えが滞るので、気密性を高めることと並行して換気計画を確実にしていくことも大切です。
UA値と並行して必要なηAC値
住宅の断熱性をより確実にするためには日射を遮蔽する性能も必要です。外気の熱が家の中に侵入する量を減らして、室温の上昇を抑える性能です。具体的には深い軒を設ける、窓に遮熱性能を持たせるなどの方法で日射を遮蔽します。
ηAC値(イータエーシー)とは、住宅の日射遮蔽性能を表す数値で、室内に侵入する日射熱を外皮面積で割り、冷房期の平均日射熱取得率を算出します。
地域区分 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
基準ηAC値 |
_ |
_ |
_ |
_ |
3.0 |
2.8 |
2.7 |
6.7 |
この数値が大きいほど室内に侵入する熱の量が多いので、冷房の効率が低下してしまいます。ηAC値が小さいほど、少ないエネルギーで涼しい環境が生まれるので省エネ性の高い家ということになります。
住宅の暮らしやすさとUA値の関係
どんなに素敵な外観と内装であっても、スムーズな動線と収納のある間取りであっても、室温の調整がし難い家は住みやすい家にはなりません。室温を調整する為に膨大なエネルギーを必要となれば、日々の経済が圧迫されてしまいます。
その為、住宅のUA値やηAC値は快適な室内環境への目安になります。ただ、家づくりにおいて大切なことは全体のバランスと、地域や周辺の環境との兼ね合いです。地域の気候や周辺の環境に配慮せず、数字だけを追い求めると、全体の家づくり予算のバランスが崩れてしまう可能性もあります。数値だけを追い求めるのではなく、間取りや軒の有無などと並行して考えていくことが大切です。
♣ 新築の間取りプランを検討する中で、吹き抜けがあるといいな…とは思っても吹き抜けがある家は夏暑く冬寒いなどのデメリットを耳にすると迷ってしまうことはありませんか?
吹き抜けは本当に暖房しても寒い、エアコンをつけても暑いという状況を生み出してしまい、メリットは見た目のおしゃれさだけなのでしょうか?
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
田畑工事は、「ご家族が生涯を通じて、健康・快適に暮らせる住まい」
という創業以来の想いを基に、家づくりをしています。
自然素材で建てられた家、一世代だけで終わる家ではなく、子や孫の代まで、心地よく暮らせる家、家族それぞれのライフスタイルに寄り添った家をお考えであれば、ぜひ田畑工事のモデルハウス見学や家づくり相談においでください。