近年、エネルギーの節約をしようという動きが、世界的に拡がっています。
地球温暖化ガスの排出量を、削減しなくてはならないからです。
そして、先進国では、個人の住宅においても、エネルギーの使い方への見直しが進められています。
住宅の性能によって、個々の家庭でのエネルギーの消費量が大きく変わるからです。
住宅でのエネルギーの消費量を減らす方法には、様々ありますが、ZEHは、その中の一つとしてあげられます。
ZEHについて
ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、ゼッチと呼ばれています。
経済産業省資源エネルギー庁では、ZEHを、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と、定義づけています。
ZEHの大きな特徴は、エネルギーを減らすことに加えて、個々の住宅が、消費するエネルギーより多くのエネルギーを創り出すことです。
■ エネルギーを減らす為に必要なこと
住宅の断熱性を高める…断熱性が高まれば高まるほど、冷暖房の効率が上がり、低くなればなるほど、冷暖房の効率が落ちます。冷暖房の効率が上がれば、エネルギーの消費量が減り、冷暖房の効率が下がれば、エネルギーの消費量が増えます。
* 住宅の断熱性が高い=エネルギー消費量が少ない
* 住宅の断熱性が低い=エネルギーの消費量が多い
■ エネルギーを創る為に必要なこと
HEMS…ホーム エネルギー マネジメント システムの略で、ヘムスと呼ばれている家庭で使用するエネルギーを、管理して、節約するためのシステムです。
* 管理 エネルギーの使用量を、常に確認することによって、使い過ぎを抑えられます。
* 制御 日々のエネルギーの使用料を設定できます。設定料を超えてしまうと、自動的にエネルギーの消費が抑えられます。
太陽光発電システム…屋根にソーラーパネルを設置して、太陽のエネルギーを利用して、発電するシステムです。
* メリット 周辺に陽射しを遮る高い建物がなく、快晴の日が続けば、家庭での消費電力以上の電力が得られ、売電もできるので、消費エネルギーの節約ができる。
* デメリット 陽射しを遮る建物が多い環境では、雨や曇りの日が続くと、家庭の必要な電力が得られないので、消費エネルギーの節約につながらない。
燃料電池(エネファーム)…都市ガス、またはLP ガスから水素を取り出し、空気中の酸素に、化学反応させて発電する装置です。
* 電気 1日に使う電力のうち、700ワットまでを賄います。
700ワットを超えた電力は、電力会社からの電力を使います。
特徴の一つとして、停電時専用コンセントがあります。
停電時専用コンセントは、台風や地震などの自然災害で、電力が供給されなくなった場合でも、使えるコンセントです。
* 給湯 発電の際に発生する熱を利用して、お湯が作れます。
約60℃のお湯に水を混ぜて、設定温度にしたお湯が、浴室や洗面所、キッチンに給湯されます。
* 暖房 床暖房と、浴室暖房をします。
床暖房に使う温水をバックアップ熱源機でつくります。
ZEHの家を建てるために必要な費用と補助金
エネルギーが節約できるだけではなく、冬は暖かく、冬は涼しいという家の中の環境が得られるZEHは、新しい住宅の形、家計にやさしい家と言えるでしょう。
優れた室内環境は、暮らしの快適さと、家族の健康にもつながります。災害などによって、電力が供給されなくなった時に、使えるコンセントがあることも安心です。
さらに、ZEHの家は、住宅の資産価値も上がります。
* 費用
よい面がたくさんあるZEHですが、ZEHの家を建てるためには、一般的な住宅以上の建築費がかかります。
住宅の断熱性を上げるための高断熱材を使ったり、太陽光発電やエネファームなどの省エネルギーの設備機器を設置したりする分、建築費が嵩んでしまうのです。
具体的には、一般的な建坪の住宅の建築費より、200万円以上、嵩んでしまいます。
また、高い断熱性と、高い気密性が求められる、ZEHの基準を満たすために、間取りプランが、制限されてしまうことがあります。
特に影響を受ける部分が窓です。
窓は、住宅の気密性、断熱性に大きく影響するからです。
窓は、機能性が上がれば上がるほど、高額になっていくので、建築費にも関わりますが、窓の位置、サイズ、開閉方法は、断熱性と気密性に、大きな影響を与えます。
同じ機能を持つ窓であっても、サイズが大きい窓や、窓の数が多い家は、小さな窓や窓の少ない家に比べれば、断熱性と気密性が低下します。
その為、「眺めが楽しめる大きな掃き出し窓をつけたい「「窓がたくさんついた明るい家にしたい」という希望があっても、思ったように窓を設置できないことがあります。
* 補助金
ZEHの補助金は、ZEHの基準を満たせば必ず交付される、というわけではありません。
年間の予算の枠が決まっているので、その枠内に、交付金額を収めなくてはならないからです。
ただし、2019年は定員割れで、応募者全員が交付を受けられました。
2019年の補助金は、70万円でした。
2020年度の補助金については、まだ決定していませんが、2019年に引き続き、補助金は交付される予定です。
2020年度は、より多くの人が応募し、応募した人の多くが、補助金を受けられるよう、補助金の額を2019年より低く設定し、補助金を受けられる住宅の数を増やす予定です。
加えて、ZEHの補助金は、ZEHビルダーに登録しているビルダーでなくては、申請できません。
田畑工事は、ZEHビルダーに登録していますので、ZEHの家を建てる場合には、補助金申請のお手伝いも致します。
これからの住宅は、ZEHにするべきでしょうか?
家の中の環境が調い快適な毎日が送れる、エネルギーの無駄をなくせる、家計に優しいなど、良い面をたくさん持っているZEHの家ですが、必ずZEHにするべきでしょうか?
家を建てる時には、新しい家で暮らし始めた時のことを想定して、様々な夢が広がります。
すべての夢を叶えようとすれば、建築費はどこまでも高額になっていきます。
しかし、家が完成してからの生活を考えれば、予算内で、新しい家を完成させなくてはなりません。
ZEHに関しても同じです。
暮らし始めてからのランニングコストが下がる、資産価値が上がるという魅力はありますが、建築費が嵩むという一面もあります。
新しい家に対するたくさんの希望、要望、夢の中から、優先順位の高い要素を、明確にすることが大切です。
ほかにつぎ込みたい要素があれば、無理にZEHにすることはないという考え方もあるのです。
エネルギーを創るという部分はできなくても、エネルギーを減らすという部分は、生活の仕方、家電の選び方で、実行できます。
現代の生活では、冷暖房だけではなく、家庭では、たくさんの家電を使います。
毎日の生活において、全く家電に頼らず、調理や洗濯などの家事を、こなしている家庭は、非常に少ないはずです。
ほとんどの家庭が、多くの家電を使って生活しています。
その一つ一つの家電が、消費するエネルギーの量の違いによって、各家庭でのエネルギーの消費量は変わってきます。
断熱性に関しても、エネルギーを創る為の設備がなくても、高断熱な家は建ちます。
予算と、優先度が高い、「新しい家での暮らしに対する夢」を考え併せ、ZEHの家にするか、しないかを決めることが大切です。
ZEH基準を満たさなければ、快適な家にはならない、冬は暖かく、冬は涼しい家にならないというわけではないからです。